不動産を売却する際、リフォームすべきか現状のまま売却すべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。本記事では、売却時にリフォームを行うメリットとデメリット、費用相場、おすすめのケースについて詳しく解説します。最後まで読んでいただければ、どのように売却を進めていくか方針が定まるでしょう。不動産の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
不動産の売却時にリフォームするメリット
不動産の売却時にリフォームをするメリットは、物件の印象が良くなり、購入検討者の購入意欲を高めることです。
不動産の売却では、購入検討者に与える第一印象が重要です。リフォームをして内覧時に好印象を与えることで、高値での成約が期待できます。特に効果が期待できるのは、以下のようなリフォームです。
- 外壁(戸建ての場合)
- キッチン
- 浴室・トイレ
- フローリング
水回りは汚れやすく、生活感が出てしまいがちであるため、購入検討者の多くがリフォームを考える部分です。リフォームによってあらかじめキレイにしておくことで、価格交渉を避けられるでしょう。
また、リフォーム済みの物件は、買主にとって購入後すぐに快適に暮らせるメリットがあるため、売却までの期間を短縮できる可能性も高まります。
不動産の売却時にリフォームするデメリット
不動産の売却時のリフォームには、メリットがありますが、同時に以下のようなデメリットもあります。
- すぐに売却活動を始められない
- リフォーム費用を回収できるとは限らない
- 自分でリノベーションしたい購入者もいる
それぞれについて解説します。
すぐに売却活動を始められない
売却時にリフォームを行うデメリットの一つは、即座に売却活動を開始できないことです。物件をリフォームする場合、工事が完了するまでは実質的に売却を進められません。
急いで売却しなければならない場合や、市況がいい時期を逃したくない方にとっては不向きな方法です。
なお、リフォームにかかる期間は、工事の規模や内容によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 軽微な補修や塗装: 1週間〜2週間程度
- キッチンやバスルームの改装: 2週間〜1ヶ月程度
- 大規模なリノベーション: 1ヶ月〜3ヶ月程度
- 全面的な改装や増築: 3ヶ月以上
これらの期間中は、内覧や写真撮影なども行えないため、売却準備の作業も滞ることになります。
また、工事の開始時期も考慮しなければなりません。リフォーム業者の予約状況や資材の調達状況によっては、すぐに工事に着手できない場合もあります。
リフォーム費用を回収できるとは限らない
リフォームを行う際のポイントは、リフォーム費用を売却価格に反映して回収できるかという点です。しかし、実際にはリフォーム費用を完全に回収できるケースは多くありません。
なぜなら、買主の需要が低迷している地域や、周辺の相場が下落傾向にある場合、いくらリフォームをしても売却価格に大きく反映されないためです。
また、リフォームの内容によっても回収率は変わってきます。一般的に、キッチンやバスルームの改装は比較的価格に反映しやすいですが、リフォーム内容によっては、買主のニーズと一致せず、魅力的に感じてもらえないためです。
さらに、中古物件のリフォームは新築と比べて割高になりやすい傾向にあります。リフォーム工事には「壊す」というステップが必要となるためです。
- 既存部分の解体・撤去費用: 古い設備や内装材を取り除く作業費用
- 廃棄物処理費用: 解体で生じた廃材の処分費用
- 予期せぬ追加工事費用: 壁を壊した後に想定外の劣化が見つかるなど、追加の修繕費用
- 設備の移設・更新費用: 既存の配管や電気設備の位置変更や更新が必要な場合の費用
このような費用がかかることから、回収が難しいケースが多いです。例えば、500万円をかけてキッチンとバスルームをリフォームしたとしても、売却価格が300万円しか上がらないということは十分に起こり得ます。
リフォームを検討する際は、単に見栄えを良くするだけでなく、費用対効果を考慮しましょう。
自分でリノベーションしたい購入者もいる
中古不動産の購入を検討している方の中には、自分でリノベーションをしたいと考えている人もいます。このような人にとっては、売主側で行ったリフォームは必ずしも魅力的ではありません。具体的には以下のような例が考えられます。
- 最新のキッチンを導入した結果、レトロな雰囲気を好む購入者の興味を失わせてしまう
- 和室を洋室に改装したことで、和の空間を求めていた購入者の需要から外れてしまう
- IoTを導入した結果、シンプルな生活を好む購入者にとっては過剰な設備と感じられる
自分でリノベーションをしたい人にとっては、リフォーム済みの物件よりも、手を加えていない状態の物件の方が魅力的に映ることがあります。
また、リフォーム済みの物件は一般的に価格が上昇するため、自分でリノベーションを行いたい購入者にとっては、予算的オーバーになってしまう可能性があります。
売主側がリフォームを行う際は、ターゲットとする購入者層を慎重に見極めることが大切です。地域の特性や物件の性質に応じて、リフォームの範囲や程度を柔軟に調整しましょう。
不動産のリフォームにかかる費用相場
売却時のリフォームは投資の側面があるため、費用相場を把握しておくことが大切です。以下の表は、一般的なリフォーム費用の相場をまとめたものです。ただし、これらはあくまで目安であり、物件の状態や地域、選択する設備などによって変動します。
場所 | リフォームにかかる費用相場 |
---|---|
キッチン | 80万円〜300万円 |
洗面所 | 30万円〜100万円 |
浴室 | 60万円〜200万円 |
トイレ | 20万円〜80万円 |
リビング | 50万円〜200万円 |
和室 | 30万円〜100万円 |
なお、売却時のリフォームを検討している方は、事前に不動産会社に相談しましょう。理由は以下の通りです。
- 不要な工事の回避:、売却価格に最も影響を与える箇所を見極められる
- 予算管理:リフォーム費用が回収できない自体を避けられる
- 市場動向の把握:どのようなリフォームが求められているかなどのトレンドがわかる
- 施工業者の選定:信頼できる施工業者の紹介を受けられる
リフォームを行う際は、費用対効果の最大化を目指しましょう。適切なリフォームを行うことで、物件の価値が高まり、スムーズな売却に繋がります。
不動産の売却時にリフォームすることがおすすめのケース
不動産の売却時にリフォームすることがおすすめなのは、以下のようなケースです。
- 過度に劣化している場合
- 設備が故障している場合
それぞれについて解説します。
過度に劣化している場合
物件が過度に劣化している場合は、リフォームを行うのがおすすめです。過度な劣化は買主の印象を損ね、売却価格が下がる恐れがあるためです。最悪の場合、購入希望者が現れず、売却自体が困難になる可能性もあるでしょう。
具体的には以下のような状態のときに、リフォームを検討しましょう。
- 外壁の劣化:外壁に大きなひび割れや剥がれが目立つ場合
- 屋根の損傷:屋根材の劣化や雨漏りの形跡がある場合
- 水回りの老朽化:キッチンや浴室の設備が著しく古い、または機能不全に陥っている場合
- 床や壁の損傷:床材のひび割れや剥がれ、壁紙の破れや変色が顕著な場合
- 耐震性能の不足:特に築年数が古い物件で、現行の耐震基準を満たしていない場合
適切なリフォームを行うことで、物件の価値を維持または向上させ、スムーズな売却につながる可能性が高まります。ただし、リフォームの範囲や予算は不動産会社とも相談をして慎重に判断する必要があります。
設備が故障している場合
設備の故障は、買主の購入意欲を下げる要因となるほか、取引の安全性を損なう原因となります。不動産の取引では、以下3点のいずれかに関して契約内容と異なる際に、売主が買主に対して法的責任を負います。
- 目的物の種類
- 目的物の数量
- 目的物の品質
例えば、「エアコンは壊れていない」と記載して引き渡したにも関わらず壊れていた場合、履行の追完(完全なものを引き渡すように求めること)を請求されます。最悪の場合、損害賠償請求や契約解除になる恐れもあります。
そのため、設備が故障している場合や不具合が頻繁に生じている場合は注意が必要です。具体的には以下のような状態のときに、リフォームを検討しましょう。
- 給湯器の故障:温水が出ない、異音がするなどの症状がある場合
- エアコンの不具合:冷暖房が効かない、異臭がするなどの問題がある場合
- キッチン設備の故障:コンロやレンジフードが正常に動作しない場合
- 照明器具の不良:点灯しない、ちらつきがあるなどの症状がある場合
- 浴室の設備故障:シャワーの水圧が低い、排水口が詰まりやすいなどの問題がある場合
- トイレの不具合:水漏れや詰まりがある場合
これらの設備故障に対してリフォームを行うことで、物件の魅力を高まり、スムーズな売却に繋がる可能性が高まります。
不動産のリフォーム費用は確定申告が必要?
不動産のリフォーム費用は、確定申告の対象となります。ただし、リフォームの目的や性質によって、「譲渡費用」または「取得費用」のいずれかに分類される点に注意しましょう。
なお、どちらに分類されるかによって、税務上の取り扱いは異なりますが、いずれの場合も節税効果が期待できます。
リフォーム費用が譲渡費用や取得費用として認められる理由は、不動産の価値や売却に直接関わる支出であり、不動産取引に不可欠な経費として扱われるためです。
ここからは、譲渡費用と取得費用に該当するケースについて、それぞれ解説します。
リフォーム費用が譲渡費用に該当するケース
売買を目的としたリフォーム費用は、譲渡費用に該当します。国税庁のホームページでは、以下のように定義されています。
譲渡所得とは、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。
引用:国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
例えば、早期売却を目的に、物件の魅力を高めるリフォームをした場合は、譲渡費用に該当します。具体的には、建物の劣化部分の補修や設備の老朽化改善などです。
売却に向けたリフォームを検討する際は、これらの条件に確認し、適切に費用を計上しましょう。ただし、個々のケースによって判断が異なる場合もあるため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
参考:国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
参考:国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの
リフォーム費用が取得費用に該当するケース
物件購入時や入居時に行ったリフォーム費用は、取得費用に該当します。国税庁のホームページでは、以下のように定義されています。
取得費には、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。
例えば、購入時に行った使用可能な状態にするためのリフォームや、住んでいる最中に行った価値向上のためのリフォームは取得費用に該当します。具体的には、フローリングに新たに床暖房を設置するといった工事です。
一般的な維持修繕は取得費に含まれないため注意しましょう。
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不動産売却時のリフォームは、物件の価値向上や円滑な売却に寄与する一方で、費用対効果や税金面での考慮が必要です。過度な劣化や設備故障の修復は効果的であるものの、買主のニーズや市場動向を慎重に見極めなければなりません。また、リフォーム費用は譲渡費用や取得費用として確定申告の対象となり、税負担軽減に繋がります。
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