一戸建て、マンションなどの建物や土地を売る場合、売却価格を決める参考にするため、査定を頼む必要があります。しかし、大半の人にとっては初めてのことになるので、勝手を理解していないとトラブルに巻き込まれるかもしれません。そこで今回の記事では、不動産査定について依頼先やトラブルと対策、必要な準備など最低限知っておいたほうがよいことを詳しく解説します。
不動産の査定は無料でできる!
不動産査定は基本的に無料で頼むことが可能です。そもそも、不動産査定は不動産会社が営業活動の一環として行っています。最終的には媒介契約を結び、無事に売買を成立させ、仲介手数料を受け取ることを目的としているため、査定の段階で料金を受け取る必要がないためです。さらに、不動産会社が仲介手数料以外に受け取れる費用は法律で厳しく制限されているので、査定料として金銭を受け取ることは事実上不可能になっています。
なお、査定を頼んだとしても媒介契約を必ずしも結ぶ必要はないうえに、複数社に同時並行で依頼してもかまいません。
参考:宅地建物取引業法46条1項・2項
参考:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
不動産の無料査定はどこに頼む?
不動産の無料査定は、不動産会社(宅建業者)に頼むのが一般的です。無料査定を進め方で分類すると、以下の3種類に分けられるので詳しく解説します。
- AI査定
- 簡易査定
- 訪問査定
AI査定
AI査定とは、文字どおりAI(人工知能)を用いた査定のことで、過去に取引された成約事例をもとに査定額を出すのが大きな特徴です。Webサイトにアクセスし、物件の基本的な情報やメールアドレスなど所定の項目を入力すれば、その場で査定額が分かります。
思い立ったときにいつでも査定ができ、担当者とのやり取りも必要ないので気軽にできるのがメリットです。ただし、あくまで限られた情報だけを用いた査定にすぎないため、正確な査定額を求めるには後述の簡易査定や訪問査定を受ける必要があります。
メリット | デメリット |
---|---|
・思い立ったときにいつでも査定ができる ・担当者とやり取りをする必要がない | ・より正確な金額を求めるなら簡易査定や訪問査定が必要 |
簡易査定
簡易査定とは、電話やインターネットを通じて提供された情報に加え、住宅地図や取引事例など、入手できる他の情報も勘案して行う査定を指します。利用するにあたっては、以下の情報を提供する必要があるので、事前にまとめておくと良いでしょう。
- 築年数
- 面積(土地、建物)
- 所在地
この方法のメリットは、AI査定と同様担当者と対面でやり取りをする必要がないことです。すぐに売る予定がないけどある程度正確な金額を知りたい場合には適しています。ただし、担当者によっては強引な営業活動をしてくることも考えられるので、そのあたりをストレスに感じる人もいるかもしれません。
メリット | デメリット |
---|---|
・対面でやり取りをする必要がない | ・担当者によっては強引な営業活動をしてくることがある |
訪問査定
訪問査定とは、売ろうとする建物、土地に実際に担当者が訪れ、物件の状態や周辺の環境を調査したうえで査定額を求める方法です。よりたくさんの情報を照らし合わせられるので、AI査定や簡易査定に比べ、正確な情報が手に入ります。また、担当者に実際に会うことになるので、媒介を依頼する不動産会社を絞りこむときの参考にもなるでしょう。
ただし、担当者が訪問することが前提になるため、日時の調整などやり取りに手間がかかります。
メリット | デメリット |
---|---|
・より正確な査定額が求められる ・依頼先を選ぶ参考にもなる | ・やり取りに手間がかかる |
いずれにしても、近い将来不動産を売る可能性があるなら、簡易査定を依頼するところから始めましょう。複数の不動産会社に連絡を取りたいなら、イエカカクの一括見積もりが非常に便利です。画面の指示に従い簡単な情報を入力するだけで、最大6社まで不動産会社に査定を一度に依頼できます。
47都道府県に対応しているので、日本全国どこからでもご依頼いただけるのもイエカカク一括見積もりの強みです。「うちの不動産、どれぐらいで売れる?」と思ったらまずは一度試してみてください。
不動産の無料査定で起こり得るトラブルと対処法
不動産の無料査定は非常に便利ですが、トラブルが起きがちでもあることに注意しなくてはいけません。具体的に想定されるトラブルとして、以下の2つを解説します。
- 営業電話がかかってくる
- 査定額が高すぎる/低すぎる
営業電話がかかってくる
1つ目のトラブルは、営業電話がかかってくることです。査定の依頼先となった不動産会社から見れば、査定を依頼してくれた人は潜在的な顧客になり得ます。つまり、自社に媒介を依頼してくれて、無事に物件を売ることができれば仲介手数料が入るので、何としても依頼を勝ち取りたいと考えても不思議ではありません。担当者によっては頻繁に営業電話をかけてくることもありえます。
これをどうとるかはその人次第ですが、担当者の提案に納得ができるなら、依頼する方向で考えて良いでしょう。しかし、依頼するつもりがなく、断っているのに何度も電話をかけてくる場合は、クレームとして不動産会社に相談するのをおすすめします。
査定額が高すぎる/低すぎる
2つ目のトラブルは、査定額が高すぎたり、低すぎたりすることです。不動産会社の担当者の経験・知識が少ない場合、他の不動産会社に頼んだ場合に比べ、査定額が高すぎたり、低すぎたりすることは十分起こり得ます。また、経験・知識が豊富な担当者がついていたとしても、営業戦略の一環であえて高い査定額を提示してくるのは珍しくありません。
このようなトラブルを防ぐためには、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。他と大きく異なる査定額を提示してきた不動産会社があれば、その査定額にした根拠を聞いてみることも必要です。納得がいく根拠を示してくれれば問題ありませんが、そうではない場合は依頼先の候補から外しましょう。
不動産の無料査定に必要な準備
不動産の無料査定に必要な準備は以下のとおりなので、以降において詳しく解説します。
- 住宅ローンの残高の確認
- 必要な書類の準備
- 相場の確認
- 家の修繕履歴の確認
- 土地の境界線の確認
住宅ローンの残高の確認
まず、住宅ローンの残高を確認することが必要になります。不動産を売却したお金で住宅ローンを完済できる見込みがあるかを確認しなくてはいけないためです。
前提として、不動産に抵当権が付されたままでは売れないため、完済して抵当権を抹消しなくてはいけません。万が一、完済できる見込みがなければ自己資金を用意し残高をゼロにする必要が出てきます。住宅ローンの残高を確認する方法として以下のものが考えられますが、どうしてもわからない場合は金融機関に問い合わせましょう。
- 残高証明書
- 返済予定表
- インターネットバンキング
必要な書類の準備
査定を依頼するにあたって、必ず用意しておかないといけない書類はありません。しかし、情報は多ければ多いほど正確な判断ができるので、以下の書類を用意しておきましょう。
【家の査定に必要な書類】
書類 | 概要 |
---|---|
分譲時のパンフレットや竣工図 | 物件の間取りを知るために必要 |
登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 | 法律上の所有者が誰かを知るために必要 |
住宅ローンの有無、残債額がわかる書類 | 売却額で住宅ローンを完済できる見込みがあるか知るために必要 |
住宅の施工業者、リフォーム業者がわかる資料 | 契約書や請求書、パンフレットなどがあれば用意する |
リフォームや修繕、リノベーションなどの履歴や内容が記された書類 | 工事時の提案書やパンフレットなどをまとめておく |
住宅性能評価書や耐震性・耐震補強を証明する書類 | 分からなければ管理会社やハウスメーカーに連絡する |
また、書類とは異なりますが、以下の情報も不動産会社に伝えておくのが望ましいです。
- 売却する理由(住み替え、転勤、離婚など)
- 売却希望期間(いつまでに売却したいか)
- 売却希望額
売却相場の確認
不動産を売る際は、査定額を参考に売り出し価格を決めなくてはいけません。そのためにも、自分が売りたい不動産と同じような条件の物件を売ったら、どのぐらいになるのかを確かめておきましょう。基本的に売り出し価格は自由に決めて構いませんが、相場からあまりにかけ離れているとなかなか売れず、途中で変更せざるを得なくなるためです。
なお、不動産の相場は以下の方法を使えば、自分でも簡単に確認できます。
- 不動産情報ライブラリ(運営元:国土交通省)
- レインズ・マーケット・インフォメーション(運営元:不動産流通機構)
- 不動産ポータルサイト
家の修繕履歴の確認
特に、一戸建てを売る前には、修繕履歴を確認しておきましょう。修繕履歴とは「シロアリ対策」や「外壁塗装」など、定期的に行った維持修繕のことです。定期的な修繕がなされていれば、手入れが行き届き、快適に住める場所として査定額にプラスに働きます。逆に、定期的な修繕がなされていないと、表には出ていなくても建物が傷んでいる可能性も考えられるため、査定額にとってはマイナスです。
いつどのような修繕を行ったかは、事前にパソコンなどでまとめておくのをおすすめします。修繕工事の打ち合わせの記録やパンフレット、工事計画書など資料があれば集めておき、すぐに渡せるようにしておきましょう。
土地の境界線の確認
土地や一戸建てを売る場合に重要になるのが、境界線の確認です。表面上は問題なく使っていたつもりでも、地積測量図(実測図)と実際の土地の状況が異なっていた場合、思わぬトラブルの元凶になります。
例えば、土地を売却しようと調べたら、隣の家の車庫が建っている場所が実は自分の土地だったという可能性はゼロではありません。地積測量図(実測図)と実際の土地の状況が一致しているなら問題ありませんが、異なっていたり、そもそも境界があいまいだったりした場合は必ず不動産会社に相談しましょう。
また、土壌汚染や地中障害物が存在する可能性もあるため、知っている範囲で土地の利用履歴についても答えられるよう、準備しておくのが望ましいです。
不動産の無料査定を行う際の注意点
不動産の無料査定を行う際の注意点として、以下の4点について詳しく解説します。
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 査定の際は希望をきちんと伝える
- 家のアピールポイントや瑕疵は正直に伝える
- 査定価格は根拠を尋ねて説明してもらう
複数の不動産会社に査定を依頼する
前述したように、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。たとえ同じ物件であっても、不動産会社や担当者によって提示してくる査定額は異なります。しかし、1つの不動産会社だけに査定を依頼したのでは、その価格が高すぎるのか、安すぎるのか判断はできません。
妥当な価格かどうかを判断するためには、複数の不動産会社が提示してきた査定額を見比べる必要があります。なお、他の不動産会社や周辺の相場からあまりにかけ離れた査定額を提示してくる不動産会社には頼まないほうが無難です。高すぎるとなかなか買い手がつかなかったり、安すぎれば自分が損をしたりと、良い結果には結び付きません。
なお、複数の不動産会社に簡単に連絡したいなら、一括見積もりサービスを使いましょう。ただし、一括見積サービスによっては対応エリアが限られていることがあります。
イエカカクの一括見積もりは、すべての都道府県に対応しているので、どちらにある物件でも査定をしていただくことが可能です。今すぐ家を売る予定がなくても「うちは売ったらどのぐらい?」と思ったなら、ぜひご活用ください。
査定の際に希望を伝える
査定を受ける際は、自分の希望をちゃんと伝えるようにしましょう。特に「いくらで売りたいか(売却価格)」と「いつまでに売りたいか(売却時期)」の2点は非常に重要です。
個々のケースによっても細かい部分は異なりますが、一般的に不動産の売却には最低でも4ヵ月(販売期間3ヵ月、契約~引き渡しまで1ヵ月)はかかります。しかし、事情があってこれよりも早い時期に手放したいなら、その旨をしっかりと伝えないといけません。また、実際にいくらで売れるかはそのときの状況次第の部分もありますが、希望価格は伝えておきましょう。
その他にも、以下の点について伝えておくとやり取りがスムーズになります。
- 広告に関する希望(例:近所の人に知られたくないから広告はNGなど)
- 連絡に関する希望(例:基本的にメールで連絡して欲しい)
- 買主に関する希望(例:修繕をしなくても良いと言ってくれる人に売りたい)
- その他の希望(例:手取り額がいくらになるか知りたい)
家のアピールポイントや瑕疵は正直に伝える
家のアピールポイントや瑕疵については、包み隠さず伝えましょう。その家が必要な修繕を経ていて、安全に住める場所であるなら、購入希望者にとってもプラスの情報になります。自分でわからない場合は、以下の書類を不動産会社の担当者に見せて、相談してみるとよいでしょう。
- 建物状況調査(インスペクション)の結果報告書
- 既存住宅に係る建設住宅性能評価書
- 耐震診断結果報告書
- 瑕疵保険の保険付保証明書
- 建築士法第20条第2項に規定する証明書(構造計算書)の写し
- 耐震基準適合証明書の写し
- 住宅耐震改修証明書の写し
- 固定資産税減額証明書の写し
- 増改築等工事証明書の写し
瑕疵についても、契約不適合責任の観点から包み隠さず伝えることが望ましいです。ここでいう瑕疵とは「通常有すべき品質を欠く」ことを指します。例えば、柱がシロアリに食われていたり(物理的瑕疵)、家自体が再建築不可物件だったり(法律的瑕疵)する場合は瑕疵に該当するため、しっかり伝えないといけません。また、近隣に悪臭を放つ工場などがあったり(環境的瑕疵)、物件自体がいわゆる事故物件だったりした(心理的瑕疵)場合も伝える必要があります。
仮にこれらの瑕疵を伝えずに物件を売ってしまった場合、発覚したら修繕や損害賠償などの対応を求められるので注意してください。これに関してもわからなければ不動産会社に相談しましょう。
査定価格は根拠を尋ねて説明してもらう
査定価格は根拠を尋ねて説明してもらいましょう。前述したように、売り出し価格は自由に決めて構いませんが、周辺相場からあまりにかけ離れていた場合、その後の販売活動にも影響が及びます。そして、査定価格が周辺相場や他の不動産会社の査定価格からかけ離れていた場合、妥当ではない売り出し価格を決めてしまう原因になるので注意が必要です。
かけ離れている査定価格を提示された場合は特に、根拠をしっかりと説明してもらうようにしましょう。確かな根拠があるなら問題ありませんが、単に「どうしても自社に依頼してほしい(してほしくない)」という営業戦略上の都合で提示していることもあります。
しどろもどろになるようなら、信頼に足る不動産会社とはいえないので、頼まないほうが無難です。
不動産の無料査定ならイエカカクがおすすめ
不動産を売却する際は査定を依頼することから始める必要がありますが、その際は一括見積もりサイトを使いましょう。自分たちで不動産会社を探して連絡する必要がないためとても便利です。
「営業電話がしつこいのでは?」と心配になるかもしれませんが、クレームが多い企業は契約を解除しているため、安心してご利用いただけるのも大きなメリットです。家族に知られたくないなどの事情がある場合も要望としてお伝えいただければ、くみ取ったうえでの対応を進めてまいります。
家を売る予定がある、もしくはゆくゆくはと考えているなら、ぜひ一度お試しください。