家屋付きの土地を相続したものの、売却したいと思っているが更地にして売って欲しいと言われた。または今住んでいる家が古くなったため建て替えを考えており、いったん家屋を解体しなければならないなど、家屋の解体の必要に迫られている人もおられるかもしれません。
そのときに気になるのは、家屋を解体する際の費用についてではないでしょうか。
今回は家屋の解体費用が決まる要因について解説するとともに、解体費用を安く抑えるためのポイントについても紹介します。これから家屋を解体するにあたり、どのような点を考慮したらいいか迷っている人はぜひ参考にしてください。
戸建ての解体費用の相場
ここでは坪数別および2階建ての場合の戸建ての解体費用の相場を紹介します。
- 30坪の場合:120万円~150万円(木造)、150万円~180万円(軽量鉄骨造)
- 50坪の場合:200万円~250万円(木造)、250万円~300万円(軽量鉄骨造)
- 60坪の場合:220万円~300万円(木造)、230万円~30万円(軽量鉄骨造)
- 2階建ての場合:2階部分の解体費用として約100万円~150万円
同じ坪数でも構造や立地などによっても異なるため一概には言えませんので、あくまでも目安として考えておきましょう。
ちなみに30坪の鉄骨造で2階建ての解体費用に約150万円かかった事例や、50坪の木造2階建ての解体費用に約270万円かかった事例もあります。
関連記事:家の解体費用の相場はいくら?費用を抑えるポイントも解説
戸建ての解体費用を決める要因
戸建ての解体費用を決める大きな要因には以下の5つが挙げられます。
- 構造
- 広さ
- 立地条件
- 廃棄する建材の量
- 解体工事以外にかかる費用
なぜこれらの項目が戸建ての解体費用を決める要因になるのかについて、以下で詳しく解説します。
構造
戸建ての解体費用を決める要素として構造が挙げられる理由は、構造によって解体する工法が異なるからです。
建物の構造には木造や鉄筋造、鉄筋(鉄骨鉄筋コンクリート)造があり、木造は解体しやすいため、解体費用も比較的安くすみます。
しかし鉄骨造や鉄筋コンクリート造などは造りが頑丈なため、解体方法が大がかりなものになったり、工事の際に必要な人数も多くなったりすることから、木造と比べるとどうしても費用がかかってしまうのです。
ちなみに構造別の1坪あたり解体費用の相場は以下のとおりです。
- 木造:3万円~5万円
- 鉄骨造:4万円~6万円
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造:6万円~8万円
ただ、木造だったとしても築年数が浅い場合は、構造が複雑だったり頑丈だったりするケースもあるため、解体費用が高額になる可能性があるため注意しておきましょう。
広さ
広さも解体費用を決める要素です。なぜなら、広ければ広いほど解体する面積も大きくなるからです。
そのため、平屋より2階建てや3階建てのほうが解体費用は高くなります。
また、地下室がある場合も解体費用が高くなる要因の1つですし、庭に木をたくさん植えている家なども解体費用が高くなりますので注意が必要です。
立地条件
立地条件が解体費用を決める要素となる理由は、解体工事に重機が必要だからです。重機が入りにくい立地だと、手作業で解体を行うことになり、工事期間や工事に必要な人数も多くなってしまいます。
また、隣家と密接していると、隣の家にも配慮しながら工事しなければならず、工期が延びてしまう原因になります。
具体的には傾斜地や狭い土地、住宅密集地などは重機の利用が制限される傾向があるため、解体費用が高くなると考えておきましょう。
廃棄する建材の量
解体工事には、解体後に廃棄する建材が必ず発生します。そしてその量が多ければ多いほど処分費用がかかり、最終的な解体費用を上げる原因になります。
廃棄する建材を運搬する費用や処分する費用は年々上がってきているといわれており、さらにリサイクル関連法により、廃棄する建材を金属や木材など分別して処分する必要が出てきたことも原因となっているようです。
また、解体工事には警備員の配置が必要ですし、場合によっては前面道路で交通整理を行う人も必要です。工事をする人以外の人件費も解体費用に関連しますので、その分解体費用は高くなります。
解体工事以外にかかる費用
戸建ての解体には解体工事以外に費用がかかるケースがあります。その場合は解体工事費へ上乗せされますので、最終的な解体工事費を決める要因になります。
解体工事以外にかかる費用として挙げられるのが「付帯工事」「アスベスト調査・工事」「諸経費」です。
どのような時に発生するのか、また費用の目安を以下に挙げておきますので参考にしてください。
概要 | 費用目安 | |
---|---|---|
付帯工事 | 家屋ではなく、堀や車庫などを解体する工事 | 20万円~50万円 |
アスベスト調査・工事 | 解体する家屋にアスベストが使われていた場合、アスベストを撤去するために発生する費用 | 20万円~数百万円 |
諸経費 | 工事にかかる申請費用や整地費用など | 1,000円/坪~5万円/坪 |
戸建て解体の費用が高くなるケース・安くなるケース
前項で家の解体費用が決まる要因について紹介ましたが、ここからは戸建ての解体費用が高くなるケースと安くなるケースを紹介します。前項のまとめも兼ねて参考にしてください。
高くなるケース | 安くなるケース |
---|---|
家の中に家具などを残したまま解体する解体する家が狭い場所にある | 坪数が大きい解体する家から産業廃棄物処理施設までの距離が短い |
家の中に家具などを残したまま解体工事を依頼すると、家具の処分費用が発生するため、高くなってしまいます。また、解体する家が狭い場所に建っている場合、重機が利用できず、作業効率が悪くなるため解体費用が高くなります。
逆に、家の構造が同じ場合、坪数が大きい方が解体費用が安くなる傾向があります。なぜなら坪数は工事工程に影響しないため。逆に人件費などを考慮すると坪数が小さいほど解体費用が割高になってしまうからです。
また、解体する家から産業廃棄物処理施設までの距離が近ければ、廃棄する建材をこまめに処分でき、作業効率が上がるため最終的な解体費用を抑えられる効果が得られます。
戸建ての解体費用を安く抑えるためのポイント
ここでは戸建ての解体費用を安く抑えるためのポイントについて紹介します。戸建ての解体費用を安く抑えるためのポイントは以下の3つです。
- 自分でできるものは処分しておく
- 補助金制度を活用する
- 複数の業者に見積りを取る
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
自分でできるものは処分しておく
まず、自分で処分できるものは処分しておきましょう。家具はもちろんのこと、庭木なども自分で処分できれば行っておくことで付帯工事費を抑えられます。
使える家具や電化製品があるなら買取業者を探して買い取ってもらう方法も有効です。また、自分で処理できる大きさの木や雑草などは伐採して処分しておきましょう。
処分を全て解体業者に任せてしまうとその分費用がかかるため、全てを業者任せにするのではなく、自分でできる処分は自分で行うことが解体費用を抑えるコツです。
補助金制度を活用する
自治体によっては、特定空き家などを解体する際の補助金制度を用意しているところもあります。
例えば仙台市では特定空き家などを除却して更地にした場合、解体費用の3分の1(上限50万円)を補助してくれます。補助制度を受けるにあたってはまず交付申請を行い、その後工事を行って、工事が完了した後に補助金を受け取る流れです。
ただ、条件や手続きの流れは自治体によって異なりますし、家の解体工事に関する補助金制度を設けていない自治体もありますので、事前に自治体のホームページで確認しておきましょう。不明な点は問い合せておくと安心です。
特に申請の際に必要な書類についてはわかりにくい点が多いため、事前に窓口で確認してもらうことをおすすめします。
複数の業者に見積りを取る
複数の業者に見積もりを取ることも重要なポイントです。なぜなら解体費用は業者によって異なり、また、交渉の際に他社ではこのくらいだったということもできるからです。
2~3社に見積もりを取ってその結果を比較することで、おおよその相場が分かりますし、さらに、見積もりの詳細を知ることで、不要な工事を省けるというメリットもあります。
依頼する業者を選ぶ際には、会社のホームページで実績を確認することも忘れないようにしましょう。
また、不動産会社に相談する方法もあります。不動産会社なら、解体業者との付き合いもあり、さらに解体における知識も有しているため、有益なアドバイスをもらえることが期待できます。
最終的に複数の業者から見積もりを取り、信頼できる解体業者に依頼することが、後々のトラブルを防ぐためにも重要だと考えておきましょう。
戸建てを解体する前に検討すべきこと
解体工事を依頼する前に、そもそも解体工事をする必要があるのかどうかを考えることも大切です。
基本的には家屋を解体することで買い手がつきやすいなど、買主の負担を減らせるかどうかの観点で解体を検討する必要があるでしょう。
このことを踏まえたうえで、家屋を解体して更地にしたほうがいいケースと悪いケースについて紹介します。
戸建てを解体して更地にした方が良いケース
戸建てを解体して更地にした方が良いケースには、以下のケースが当てはまります。
- 建物が老朽化しており、住める状態ではない
- 傾斜地など立地条件が悪い
- 地下に埋設物がある可能性がある
買い手としても土地の上に家屋がある状態で購入すると、その解体費用を自分で負担しなければならず、それが理由で購入意欲が低下する恐れもあります。特に傾斜地など立地条件が悪い場合は解体費用も高くなり、買い手としても負担に感じるでしょう。
しかし更地にしておくことで買い手が土地の状況をイメージしやすく、買い手が見つかりやすくなるといったメリットが得られるほか、新築の家を建てたいため土地を探しているというニーズにも応えられます。
また、売却する前に解体工事を行うことで、家の基礎部分やコンクリート片などが見つかることがあります。もしそのようなものがある場合、売却する前に全て取り除かなければなりません。なぜなら、取り除かずに売却した場合、売却後にそのような埋設物が見つかったときには、買い手との間でトラブルに発展する可能性があるからです。
戸建てを解体して更地にしない方が良いケース
戸建てを解体して更地にしない方が良いケースには、以下のようなケースが挙げられます。
- 家が建っていることで、買主が建物のイメージがしやすい
- 固定資産税や都市計画税の減税を受けたいと考えている
不動産を売買する際に、土地の上に建物があった方が、建て替えるにしても建物のイメージがつきやすいと考える人もいます。また。家がまだ築浅であれば、簡単なリフォームで住み続けることができるでしょう。
また、土地の上に建物があることで、土地にかかる固定資産税や都市計画税の軽減対象になることも見逃せません。具体的には土地の上に建物がある場合、土地の200平方メートル未満の部分については固定資産税が6分の1に、都市計画税が3分の1になります。
さらに、建築基準法の確認もしておきましょう。場合によっては再建築不可となっている土地もあり、その場合、上に建物を建てることはできません。その場合、建物が残っていればリフォームをすることで住み続けることができます。再建築不可となっている場合、更地にしてしまうとその後は家を建てられなくなりますので、十分な注意が必要です。
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家を解体する際には、まとまった費用が必要です。費用を抑えるためにも、自分でできるところは自分で行う、また補助金制度を活用するなどの工夫を考えておきましょう。
また、なかには更地にしない方が良いケースもありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
もし、解体せずにそのまま売却するなら、どのくらいで売れるのかを知っておくことも大切です。
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