不動産売却でかかる諸費用一覧!目安や計算方法をわかりやすく解説

不動産を売却する際には、仲介手数料や登記費用などのさまざまな費用がかかります。不動産売却は何度も経験するものではないため、「どのくらいの費用がかかるのか」「いつ支払うのか」といった疑問を抱いている方も少なくないでしょう。売却時に慌てないためには、どのような費用がかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。

この記事では、不動産売却でかかる費用を解説します。費用を抑える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

不動産売却でかかる諸費用一覧

不動産を売却する際には、さまざまな費用がかかります。売却でかかる費用の目安と支払い時期は、以下のとおりです。

手数料・費用費用の目安支払い時期
仲介手数料(売却額×3%+6万円)+消費税
※不動産売買価格(税抜)が400万円以上の場合
売買契約の締結時に50%
引き渡し時に50%
印紙税1,000円~6万円
※売却金額によって異なる
売買契約時
登記費用【抵当権抹消費用】不動産1個につき1,000円(司法書士報酬:1~2万円)
【所有権移転登記】 土地:固定資産税評価額×2%
※2026年3月31まで1.5% 建物:固定資産税評価額×2%
(司法書士報酬:3~6万円)
引き渡し時
譲渡所得税非課税〜譲渡所得×39%
※2037年までは、別途復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課税される
確定申告時
住宅ローンの返済手数料0~5万5,000円引き渡しまでに
土地の測量費30~50万円売却活動前
家の解体費用木造:2万5,000円~4万円/坪
鉄骨造:2万5,000円~5万円/坪
鉄筋コンクリート造:3万5,000円~8万円/坪
売却活動前
ハウスクリーニング費用家全体:5~20万円売却活動前
引越し費用単身者:4~8万円
2人家族:8~10万円
4人家族:12~17万円
引越し時

売却前に慌てないためにも、余裕を持って資金を用意しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産の売買を仲介する不動産会社に支払う費用のことです。仲介手数料は売買契約が成立した場合に支払う報酬であるため、仲介を依頼したものの売買契約が成立しなかった場合は支払う必要がありません。

仲介手数料は、宅地建物取引業法によって以下のように上限額が定められています。

売却額仲介手数料の上限額
200万円以下売却額×5%+消費税
200万円超~400万円以下(売却額×4%+2万円)+消費税
400万円超(売却額×3%+6万円)+消費税

実際に支払う金額は、不動産会社が上限を超えない範囲で自由に設定できます。仲介手数料は売買契約成立時に50%を支払い、不動産引き渡し時に残りの50%を支払うのが一般的です。

ただし、不動産会社によっては売買契約時や物件の引渡し時に一括で支払いを求める場合もあるため、支払いのタイミングを確認しておきましょう。

印紙税

印紙税とは、売買契約書や領収書などの印紙税法で定められた書類に課される税金のことです。印紙税額は、不動産の売買契約金額によって以下のように異なります。なお、2027年3月31日までに作成される契約書の印紙税には軽減措置が適用されます。

契約金額税額軽減税額 ※2027年3月31日まで
50万円超~100万円以下1,000円500円
100万円超~500万円以下2,000円1,000円
500万円超~1,000万円以下           1万円5,000円
1,000万円超~5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超~1億円以下6万円3万円

印紙税は、売買契約書に収入印紙を貼りつけて消印することで納付できます。一般的には契約書を作成する不動産会社が印紙を用意しているケースが多いため、売主は印紙税額分の現金を契約当日に持っていきましょう。

なお、印紙税を納付しなかった場合は、納める予定であった印紙税額の3倍の過怠税が課される場合があるので注意しましょう。

登記費用

登記費用とは、住宅ローン完済後の「抵当権抹消」や不動産の所有権を買主に移転する「所有権移転登記」にかかる費用です。抵当権とは、債務者がローンを返済できなくなったときのために土地や建物を担保にする権利のことです。住宅ローンを完済すると、金融機関が設定した抵当権を抹消するのが通例です。

抵当権を抹消する際は、1件につき1,000円の登録免許税がかかります。たとえば、土地と建物の抵当権を抹消する場合は2,000円かかります。なお、司法書士に手続きを依頼した場合は、司法書士報酬として1~2万円程度が追加で必要です。

また、所有権移転登記にかかる費用は、土地が「固定資産税評価額×2%(2026年3月31まで1.5%)」、建物が「固定資産税評価額×2%」です。司法書士に手続きを依頼した場合は、司法書士報酬として3~6万円程度の費用がかかります。

所有権移転登記費用は買主が負担するのが通例とされていますが、法律で定められているわけではないため、事前に確認しておきましょう。

譲渡所得税

不動産を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を納めなければなりません。譲渡所得税額は、以下の計算式で求めた譲渡所得に税率をかけることで算出できます。

譲渡所得= 不動産の売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額

譲渡所得にかかる税率は、売却した物件の所有期間によって異なります。

区分所有期間税率
短期譲渡所得所有期間5年以下の土地・建物39%(所得税30%・住民税9%)
長期譲渡所得所有期間5年超えの土地・建物20%(所得税15%・住民税5%)

2037年までは基準所得税額に2.1%をかけて算出した復興特別所得税が別途課税されます。売却益が発生した際は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をして譲渡所得税を納税しましょう。

住宅ローンの返済手数料

住宅ローン返済中の物件は、基本的にローンを完済しなければ売却できません。住宅ローン残債を一括返済するときには、繰り上げ返済手数料がかかる場合があります。

繰り上げ返済手数料は金融機関によって異なり、0~5万5,000円程度が目安です。なかには、インターネットで手続きすることで手数料が無料になる金融機関もあるため、確認しておきましょう。

土地の測量費

境界が確定していない土地や建物を売却する場合は、測量する必要があります。隣地との境界線があいまいなまま査定や売却活動を進めると、正確な査定額を把握できなかったり、隣地の住民とトラブルになったりする可能性があるので注意が必要です。

境界があいまいなときは、土地家屋調査士に測量してもらうことをおすすめします。土地の測量費の目安は、30~50万円程度です。

家の解体費用

建物を解体してから売却する場合は、解体費用がかかります。解体費用は、以下のように建物の構造によって異なります。

建物の構造坪単価30坪の解体費用の目安
木造2万5,000円~4万円75万〜120万円
鉄骨造2万5,000円~5万円75万〜150万円
鉄筋コンクリート造        3万5,000円~8万円105万〜240万円

構造によって解体のしやすさが異なるため、一般的に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に解体費用が高くなる傾向があります。1坪あたりの解体費用と建物の床面積から解体費用の目安を把握しておきましょう。

関連記事:家の解体費用の相場はいくら?費用を抑えるポイントも解説

ハウスクリーニング費用

内覧時に室内が汚れていたり、水回りにカビが発生したりしていると買主の購買意欲が下がってしまいます。買主によい印象を与えるためにも、室内を清潔な状態にしておきましょう。

自分で掃除をしても汚れが取れない場合は、ハウスクリーニングを依頼してみることをおすすめします。ただし、家全体のクリーニングを依頼すると5~20万円ほどの費用がかかるため、あらかじめ予算を決めて汚れが気になる場所を中心に依頼するのがよいでしょう。

ハウスクリーニングの場所ごとの費用相場は以下のとおりです。

場所費用相場
キッチン1万6,000円~2万円
浴室1万5,000円~2万円
トイレ8,000円~1万円
洗面所8,000円~1万円
エアコン1万~2万5,000円
1万~3万円

売却する物件をきれいにしておくことで、買主が見つかりやすくなるでしょう。

引越し費用

引越し費用は、荷物の量や引越し先までの距離、時期によって異なり、4万~17万円程度かかります。引越し先が遠方である場合や、繁忙期に引越しをする場合は割高になりやすいため、繁忙期を避けたり、荷物を減らしたりするようにしましょう。

仮住まいが必要になる場合は、仮住まいの家賃や仮住まいから新居への引越し費用も考慮しておく必要があります。

不動産売却にかかる手数料や費用を抑える方法

不動産売却にかかる手数料や費用を抑える方法は、以下の2つです。

  • 仲介手数料は不動産会社に相談する
  • 特例や控除を活用する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

仲介手数料は不動産会社に相談する

仲介手数料は、宅地建物取引業法によって定められた上限額を超えない範囲で、不動産会社が自由に決められます。そのため、不動産会社に相談することで仲介手数料を抑えられる可能性があります。

ただし、仲介手数料の値引き交渉をすると営業活動の優先度を下げられ、売却までに時間がかかってしまう場合があります。なかなか売却できなければ物件の販売価格を下げることになり、納得できる価格で売却できない可能性が高まるので注意しましょう。

特例や控除を活用する

不動産を売却する際には、条件を満たしていれば税金を軽減できる特例制度があります。不動産売却時に利用できる特例や控除は、以下の4つです。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
  • 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換え特例
  • 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

税金を抑えるためにも、利用できる制度がないかを確認しておきましょう。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除

マイホームを売却した場合には、所有期間を問わず譲渡所得から最高3,000万円までを控除できる特例があります。この特例を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 自分が住んでいる家屋または家屋と敷地を売る(以前に住んでいた場合は、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までに売ること)
  • 前年または前々年にこの特例を受けていない
  • 前年または前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例を受けていない
  • 収用等の場合の特別控除などほかの特例の適用を受けていない
  • 災害によって消滅した家屋の場合は、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までに売ること
  • 親子や夫婦などの特別な関係の相手に売ったものでない

配偶者や親族にマイホームを売却した場合は、この特例が利用できないので注意しましょう。

参考:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例

10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

所有期間が10年を超えるマイホームを売却した際には、以下のように通常よりも低い税率で譲渡所得税額を計算する特例を適用できる可能性があります。

譲渡所得金額税率
6,000万円以下の部分14%(所得税10% 住民税4%)
6,000万円を超える部分20%(所得税15% 住民税5%)

この特例を適用するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 日本国内にある自分が住んでいる家屋または家屋と敷地を売る
  • 売った年の1月1日時点で家屋や敷地の所有期間が10年を超えている
  • 売った年の前年または前々年にこの特例の適用を受けていない
  • 買換えや交換の特例などほかの特例の適用を受けていない
  • 親子や夫婦などの特別な関係の相手に売ったものでない

軽減税率の特例は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」と併せて適用することもできます。なお、2037年までは基準所得税額に2.1%をかけて復興特別所得税が別途課税されます。

参考:国税庁|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

特定の居住用財産の買換え特例

マイホームを2025年12月31日までに買換えると、特例によってマイホームを売却するまで譲渡所得税の納税時期を繰り延べることができます。

たとえば、1,000万円で購入したマイホームを3,000万円で売却し、5,000万円のマイホームに買い換えた場合には、通常2,000万円の譲渡益が課税対象となります。しかし、この特例の適用を受けた場合には、売却した年に2,000万円への課税は行われず、買換えたマイホームを売却するときまで課税が繰り延べられます。

その後、買換えたマイホームを6,000万円で売却した場合には、譲渡益の1,000万円と繰り延べられていた2,000万円を合わせた3,000万円が課税対象となります。

この特例を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

  • マイホームの譲渡である(以前に住んでいた場合は、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までの譲渡であること)
  • 売却した年の前年または前々年に「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」や「軽減税率の特例」などの適用を受けていない
  • 売却したマイホームと買換えたマイホームが日本国内にある
  • 売却額が1億円以下である
  • 売った人の居住期間が10年以上かつ、譲渡の年の1月1日時点で所有期間が10年を超える
  • 買換える建物の床面積が50平方メートル以上、土地の面積が500平方メートル以下
  • マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買換える
  • 買換えるマイホームが建築後使用されたことのない住宅である場合、特定居住用家屋に該当しないこと
  • 買換えるマイホームが耐火建築物の中古住宅である場合、25年以内に建築されているまたは一定の耐震基準を満たすものであること
  • 買換えたマイホームが耐火建築物以外の中古住宅である場合、25年以内に建築されているまたは取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること
  • 親子や夫婦などの特別な関係の相手に売ったものでない

マイホームを配偶者や親族に売却した場合は、この特例が利用できないので注意しましょう。

参考:国税庁|No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームの買い換えや住宅ローンのあるマイホームの売却によって譲渡損失が生じたときには、譲渡損失をその年のほかの所得から控除できる場合があります。さらに、控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以後3年間にわたって控除できます。

「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

  • マイホームの譲渡である(以前に住んでいた場合は、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までの譲渡であること)
  • 譲渡の年の1月1日時点で所有期間が5年を超える
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • 譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得すること
  • 新たな住居を取得した年の翌年12月31日までの間に住み始める
  • 10年以上の住宅ローンを利用して新たな住居を購入している

「住宅ローンが残っているマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • マイホームの譲渡である(以前に住んでいた場合は、住まなくなった日から3年経過後の12月31日までの譲渡であること)
  • 譲渡の年の1月1日時点で所有期間が5年を超える
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • マイホームの売買契約日の前日時点で10年以上の住宅ローンの残高があること
  • マイホームの譲渡価額が住宅ローン残高を下回っている

いずれの特例も旧居を親子や夫婦などの特別な関係の相手に売却した場合や、売却した年の前年または前々年に「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」や「軽減税率の特例」など、ほかの特例を適用している場合は適用できません。

また、合計所得金額が3,000万円を超える年は、その年のみ譲渡損失の繰越控除ができないので注意しましょう。

参考:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
参考:国税庁|No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

不動産売却ならイエカカクがおすすめ

不動産を売却する際には、仲介手数料や登記費用などのさまざまな費用がかかります。資金を慌てて用意することにならないためにも、かかる費用を把握しておくことが大切です。手元に残るお金を増やすためには、不動産を少しでも高く売却する必要があります。不動産を高く売却できるように、複数の不動産会社を比較して信頼できる会社を選びましょう。

複数の不動産会社を比較する際は、一括見積もりサイトの「イエカカク」を利用するのがおすすめです。イエカカクでは、査定申し込みフォームに必要事項を入力するだけで最大6社を手軽に比較できます。イエカカクを活用して自身に合う不動産会社を見つけましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次