任意売却とは何?メリットやデメリット・向いている人の特徴を解説

住宅ローンを滞納し続けると競売にかけられて強制的に売却されてしまうので、競売にかけられる前に自身で売却しようと考える方もいるでしょう。しかし、住宅ローンの返済期間中は金融機関の了承を得られなければ売却できません。そのような場合は、金融機関の了承を得て売却する「任意売却」を選択することになります。

この記事では、任意売却のメリット・デメリットや流れを解説します。任意売却が向いている人の特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンを返済できなくなったときに金融機関の了承を得て売却する方法です。

住宅ローン返済中の不動産には、抵当権が設定されているため、金融機関の了承がない状態で売却することはできません。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ったときのために金融機関が不動産を担保にする権利のことです。

住宅ローンを滞納し続けると競売によって強制的に住宅が売却されることになります。しかし、競売では売却金額が市場価格より低くなってしまうケースが多いため、売却金額が高くなる傾向がある「任意売却」を選択する人が多くいます。

任意売却によって売却価格が上がれば、より多くの残債を回収できるため、金融機関にもメリットがある方法といえるでしょう。

競売との違い

競売とは、住宅ローンを返済できない状況が続いた場合に、担保としていた不動産を強制的に売却することをいいます。

任意売却は、売主と金融機関の相談によって売却価格や引渡し時期などを決められるのに対し、競売は売主の希望が反映されません。裁判所主導で手続きが進められるため、売主の希望と関係なく売却価格や引渡し時期が決定されます。

想定より低い金額で売却される状況を防ぐためにも、競売にかけられる前に任意売却できないかを金融機関に相談してみましょう。

関連記事:任意売却と競売の違い7つ|それぞれに向いている人の特徴も紹介

任意売却のメリット

任意売却のメリットは、以下の4つです。

  • 競売よりも高く売れる可能性がある
  • 自分の意思で売却できる
  • 返済の負担を抑えられる
  • プライバシーを守れる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

競売よりも高く売れる可能性がある

任意売却は、競売よりも高く売却できる可能性があります。競売では、市場価格の4割程度に設定される売買基準価格を目安に売買されますが、任意売却は市場価格と同程度で売却できるケースが多いです。

また、競売では買主が内見できなかったり、所有者が退去に応じないトラブルが発生したりする可能性があるため、買主が見つかりにくい傾向があります。

売却後のローン残債を少しでも少なくするためにも、任意売却できるように金融機関に相談してみましょう。

自分の意思で売却できる

競売は裁判所が売却価格や時期を一方的に決められますが、任意売却では売主の希望が取り入れられるケースが多いです。ただし、金融機関から売買条件を提示される可能性があるため、自由に売却ができるとは限りません。

任意売却をする際は、どのような条件があるのかを金融機関に確認しておくとよいでしょう。

返済の負担を抑えられる

任意売却では、売却代金で返済できなかった残債を売却後に返済していくことになります。任意売却は、競売に比べて売却価格が高くなる傾向があるため、返済の負担を抑えやすくなります。

加えて、任意売却に合意してくれた金融機関は、売主が経済的に苦しい状況であることを理解しているため、返済を続けられるように配慮してくれることもあるでしょう。

プライバシーを守れる

競売物件の情報はインターネット上に掲載されるうえ、投資家や不動産業者が現地調査のために住宅を訪れることになります。そのような状況が続くと、近隣住民や知人に競売にかけられていることを知られてしまう可能性があります。

一方、通常の売却活動と同様の流れで行われる任意売却は、住宅ローンの返済が滞っていたりお金に困っていたりすることが知られるリスクが少ないので安心です。

任意売却のデメリット

任意売却には、以下のようなデメリットがあります。

  • 販売活動に協力する必要がある
  • 手続きに時間や労力がかかる
  • 買い手が見つからなければ競売となる

それぞれ詳しく解説します。

販売活動に協力する必要がある

競売は裁判所の主導で手続きが進められますが、任意売却では不動産会社に任せきりにするのではなく、売主も積極的に販売活動に協力する必要があります。

たとえば、室内や庭を清潔な状態に整えて物件の第一印象をよくしたり、手続きに必要な書類を早めに用意したりすることが求められるケースがあります。なお、これらの対応をすることで任意売却がスムーズに進むだけでなく、より高い金額で売却できる可能性があるので、可能な限り協力するようにしましょう。

手続きに時間や労力がかかる

任意売却は、通常の売却活動のように自身の判断で売却価格や時期を決めることはできず、債権者である金融機関の許可を得ながら進める必要があります。

たとえば、買主から売却価格の交渉をされた際に金融機関が納得しなければ売却はできません。そのため、通常の売却活動よりも手続きの時間や労力がかかる傾向があります。

買い手が見つからなければ競売となる

任意売却をする場合、競売の開札の前日までに買主を見つけられなければ住宅が強制的に売却されてしまいます。

任意売却のタイムリミットの目安は、不動産競売物件情報サイトに情報が公開されてから4週間程度とされています。競売を避けるためにも、任意売却を得意とする不動産会社を見つけ、自身も売却活動に積極的に協力するようにしましょう。

任意売却が向いている人の特徴

任意売却が向いているのは、以下のような人です。

任意売却が向いている人の特徴
  • 金融機関から住宅ローンの一括返済を求められている人
  • ケガや病気で働けなくなった人
  • リースバックで同じ家に住み続けたい人

住宅ローンを滞納し続けて金融機関から一括返済を求められている人は、競売にかけられる前に任意売却することをおすすめします。任意売却は、競売より売却金額が高くなりやすいので、返済の負担を抑えやすくなります。

ケガや病気で働けなくなり、住宅ローンの返済ができない状況が続いている人も、早めに任意売却の手続きを進めましょう。

また、売却してからも同じ家に住み続けたい人には、任意売却後にリースバックをする方法をおすすめします。リースバックとは、マイホームを売却したあとに買主と賃貸契約を締結し、家賃を支払いながら同じ家に住み続ける方法のことです。

同じ家に住み続けたいのであれば、任意売却をしてリースバックを選択することも視野に入れてみましょう。

任意売却の流れ

競売にかけられる前に任意売却で買主を見つけるためには、任意売却の流れを把握しておくことが大切です。ここでは、任意売却の流れを7つのステップに分けて紹介します。

①金融機関から督促状が届く

住宅ローンを滞納して1~2ヶ月経つと、金融機関から督促状が届きます。さらに、滞納してから3~6ヶ月経つまで何も対応しなければ住宅ローンを分割で支払う権利を失い、金融機関から一括返済を求められます。

一括返済に応じない状況が続くと競売の手続きが開始されるため、早めに対応しましょう。

②金融機関に相談する

住宅ローンの一括返済を求められたら、マイホームを売却してローン残債を返済できるかを確認しましょう。ローン残債は、金融機関から送付される残高証明書や金融機関のホームページ、窓口で確認できます。

マイホームの売却相場は、実際に売買が行われた物件の取引情報を閲覧できるレインズ・マーケット・インフォメーションや不動産会社による査定で確認できます。

滞納している状態が続くと、競売にかけられてしまう場合があるので、可能な限り早く金融機関に相談しましょう。

③不動産会社と媒介契約を締結する

任意売却を成功させるためには、不動産会社選びが重要です。任意売却は通常の売却と異なり、競売にかけられる前に買主を見つけなければなりません。また、売主の希望だけでなく金融機関の意見も考慮して売却活動を進める必要があります。

そのため、任意売却を専門とする不動産会社に依頼することが大切です。任意売却の経験やスキルを重視して媒介契約を結ぶ不動産会社を選びましょう。

④金融機関の許可を得る

任意売却をするためには、債権者である金融機関の許可を得る必要があります。ローン残債と売却価格に大きな差があったり、任意売却後の返済計画に無理があると判断されたりすると、許可を得られないこともあるので注意しましょう。

⑤売却活動を開始する

金融機関から任意売却の許可を得られたら、売却活動を始めましょう。任意売却の売却活動では、通常の不動産の売却活動と同様に、不動産会社のサイトや不動産ポータルサイトに物件情報が掲載されます。

ただし、買い手から価格交渉があった際には売主の判断だけで応じるのではなく、金融機関からの了承を得なければ売却できないので注意が必要です。なかなか買主が見つからない状況が続くと、競売にかけられてしまう恐れがあるため、期限内に買主が見つかるように不動産会社と協力して売却活動を進めましょう。

⑥買主と売買契約を締結する

買主が見つかり、金融機関が売却価格に合意したら売買契約を締結します。売買契約をスムーズに進められるように、買主を探している間に契約に必要な書類をそろえておきましょう。

⑦不動産を引き渡す

売買契約を締結した後は、決済と引渡しを行います。任意売却では、売主の希望を反映して引渡し日を決められるため、金融機関や買主と相談して日程を決めましょう。

不動産を引き渡したら、抵当権抹消登記や所有権移転登記を行ったのちに売却代金でローンを返済します。残債がある場合は金融機関と相談して無理なく返済できる計画を立てましょう。

任意売却するとブラックリストに載る?

滞納や自己破産などの金融事故を起こした事実が信用情報に記録されることを「ブラックリストに載る」と表現されることがあります。金融事故として信用情報に記録されると、新たなローンを組んだりクレジットカードを契約したりするのが難しくなります。

任意売却をしたことで信用情報に記載されることは基本的にありませんが、滞納をしていた事実が記録されることがあります。信用情報に記録されているかを確認したいときは、信用情報機関に問い合わせてみましょう。

不動産の売却ならイエカカクの一括見積もりがおすすめ

住宅ローンを滞納し続けると、マイホームが競売にかけられて強制的に売却されてしまうことになります。競売では市場価格の4割程度の価格で売却されることになるので、競売にかけられる前に任意売却することをおすすめします。

任意売却をするには、競売の開札の前日までに買主を探したり、金融機関に売買条件の了承を得たりしなければなりません。任意売却をスムーズに進めるためにも、複数の不動産会社を比較して任意売却に強い会社を選びましょう。

任意売却を得意とする不動産会社を見つけるためには、一括見積もりサイトの「イエカカク」を利用するのがおすすめです。イエカカクでは、査定申し込みフォームに必要事項を入力するだけで最大6社を手軽に比較できます。イエカカクを活用して、任意売却に強い不動産会社を見つけましょう。

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