不動産売却時の査定額とは｜査定方法や売却価格を決める際のポイントを紹介

2024年10月1日

不動産を売却する際には、まず不動産会社に査定依頼を行い、査定価格を提示してもらう必要があります。そしてその査定価格を元に、実際に売り出す価格を決める流れです。

また、査定方法には３つの種類があり、どの種類を選ぶかによって査定額は異なります。

今回は査定額の求め方について詳しく解説するとともに、売り出し価格を決める際のポイント、そして不動産会社が提示した査定額が正しいかを調べる方法についても紹介します。

これから不動産を売却するために不動産会社に査定依頼を行おうと考えている方は参考にしてください。

査定額とは

査定額とは、その不動産をもし売りに出すとすればどのくらいの価格で売れるのかを示すものです。また、査定にあたっては売り出しを開始してから3ヶ月程度で売買契約に至ると見込まれる金額を提示します。

通常、家を売却する際には不動産会社に対して査定依頼を行いますが、査定基準は不動産会社によって異なります。そのため、査定依頼を行う際には、必ず複数の不動産会社に依頼を行うことが大切です。

なかには自分の会社と契約してほしいという理由で高い査定額を提示してくる不動産会社もあり、そのような不動産会社と媒介契約を締結してしまうと後々のトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。

そのためにも、必ず複数の不動産会社に依頼し、査定結果を受け取った際には査定の根拠を納得するまで聞き取るようにしましょう。

売却価格との違い

査定額とは、あくまでも依頼時の相場に基づいた額です。そして売却価格とは実際に売れた金額を指すため査定額とは異なります。

不動産を売却する際には査定額を元に売り出し価格を決め、最終的に買い主と交渉した結果、売却価格が決まります。

そのため、査定額と売却価格が同じになるケースはないと考えていいでしょう。

「査定額が相場より高い＝高く売れる」とは限らない

仮に相場よりも査定額が高かった場合でも、高く売れるとは限りません。なぜなら自社と媒介契約を結んでもらいたいために査定額を高く掲示する不動産会社も存在するからです。

相場よりも高い家は、３ヶ月を過ぎてもなかなか買い手がつかないケースも珍しくありません。その結果、徐々に売り出し価格を下げて行くことになり、あまりにも長く売れ残っていると、相場よりもさらに低い金額で売却する結果にもなりかねません。

そのためにも、査定額の根拠を不動産会社に確認するのはもちろん、自分でも事前に相場を調べておくなど、信頼できる不動産会社を見極める基準を作っておくよう心がけましょう。

不動産の査定方法

ちなみに不動産の査定方法には下記の2種類があります。

机上査定
訪問査定

机上査定と訪問査定の違いは以下のとおりです。

机上査定

机上査定とは簡易査定とも言われ、その名のとおり売却しようとしている物件と似たような取引事例や同じような立地条件でどのくらいで売りにだされているかといった情報を元に計算する査定方法です。

机上査定のメリットは結果が出るまでの時間が早いことです。最近ではAI査定を利用し、査定結果が出るまでのスピードを短縮している不動産会社もあります。ただ、実際の物件を見ていないため査定結果の精度が落ちる点には注意しておきましょう。

そのため、「今すぐ売るわけではないけれど、どのくらいで売れるのか知っておきたい」という人に向いています。

査定結果は不動産会社によって異なるため、複数の不動産会社に依頼することが重要なポイントです。複数の不動産会社に対して１社ごとに依頼する手間を省きたい人には、一括査定サービスがおすすめです。

以下のサイトからも無料で一括査定が利用できますので、興味のある方は利用してみてください。

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訪問査定

訪問査定とは机上査定と異なり、不動産会社の担当者が実際に物件を見に来て査定する方法です。

敷地の状態や前面の道路幅はもちろん、建物の劣化具合や故障している設備はないかなどをチェックします。また周辺環境やマンションなら管理状況も詳しくチェックし、その結果を元に査定価格を算出します。

そのため、精度の高い査定結果が得られる点が訪問査定の大きなメリットです。

ただ、訪問査定だと査定時に立ち合わなければならず、日程調整が必要です。さらにチェックする部分が細かいため、査定結果が出るまでに時間がかかるといったデメリットもあります。

そのため、訪問査定は家を売ることを決めており、精度の高い査定結果を望む人に向いています。

不動産の査定価格を決める方法

不動産会社に査定を依頼し、査定結果を受け取った際には、必ず査定の根拠を聞くようにしましょう。ただ、その際に査定価格を決める方法を事前に知っておくことで、より説明内容が理解できます。

そのためにも不動産の査定価格を決める方法についての知識も事前に持っておくことが大切です。

査定価格の算定方法	概要	対象
取引事例比較法	対象となる不動産と条件が似ている過去の取引事例を参考にして算出する方法	居住用物件
収益還元法	売りに出す物件が今後どのくらいの利益を生み出すのかといった視点で算出する方法	投資用不動産
原価法	現在の家屋を取り壊し、再構築する際の費用を計算し、そこから現在の家屋の劣化部分を差し引いて算出する方法	居住用物件（戸建て）

取引事例比較法

取引事例比較法とは、売却対象となる物件と築年数、エリアなどの条件が近い物件について、過去にどのような売り出し事例や制約事例があったかを調べ、それを元に査定価格を決める方法です。

一般的に土地の面積や建物の延べ面積、築年数、立地条件などさまざまな視点で物件を点数化して計算する方法が取られています。

取引事例比較法は居住用物件を査定する際に用いられることが多く、アパートやマンション戸建てなどが対象です。

収益還元法

収益還元法とは、その不動産を賃貸に出すなどして運用した際に、今後どのくらいの利益を生み出すかを考えて査定価格を算出します。そのため、居住用物件よりは投資用の不動産を査定する際に用いられる査定方法です。

収益性は１年分の家賃を表面利回りで割って求められるため、表面利回りが低い物件ほど査定額は上がる仕組みです。また利用する表面利回りは4％～5％と言われています。

投資用不動産にも一棟区分マンションや戸建て、一棟アパートや一棟マンションなどがあり、それらを査定する際に利用されます。

原価法

原価法とは、その建物をいったん取り壊したと仮定し、新たに建築した際の費用から経年劣化を考慮して査定額を求める方法です。

また、新たに建築する際の費用を再調達価格といい、工事費に加えて付帯費用も含まれる点に注意しておきましょう。

原価法は居住用物件のなかでも戸建てを査定する際に利用される算定方法です

売り出し価格を決める際のポイント

査定価格を算出したら、次はそれをもとに売り出し価格を決める必要があります。その際には、「いつまでに売りたいか」といった売却までの期限を基準にして決めるとよいでしょう。なぜなら、査定価格は３ヶ月以内に成約することを基準にして算出しています。そのため、もっと早く売りたいなら査定価格よりも少し下げて売り出し価格を設定すると購入希望者も見つかりやすくなるからです。

また、売り出し価格を設定する際には、上限価格と下限価格を合わせて決めておくことが大切です。あまりにも査定価格より高い売り出し価格を設定すると、いつまで経っても売れない状態を招くことになりかねませんし、また、早く売りたいからと売り出し価格を引く設定すると、売れた後に「もっと高い値段で売れたかもしれない」と後悔する可能性もあります。

また、住宅ローンの残高が残っている人は、売却した価格でローン残債を完済できるかどうかも考慮したうえで売り出し価格を決めるようにしてください。