所有している土地を売却しようと考えている人もいるでしょう。土地を売却し、利益を得た際には譲渡所得となり所得税の対象になります。さらに、土地を売却する手続きにおいても支払わなければならない税金が発生します。
今回は、土地を1,000万円で売却した場合の税金額について紹介するとともに、税金額の計算方法や、売却の際に使用できる控除や特例についても解説します。これから土地を売却しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
土地を1,000万で売却すると税金はいくらかかる?
1,000万円の土地の売却にかかる税金額の目安と支払い時期は以下のとおりです。
税金の種類 | 費用の目安 | 支払い時期 |
---|---|---|
印紙税 | 1万円 | 不動産売買契約締結時 |
登録免許税 | 1,000円 | 引渡し時 |
所得税 | 売却した年の1月1日時点で ・所有期間が5年以内:300万円 ・所有期間が5年超:150万円 | 翌年の確定申告時 |
住民税 | 売却した年の1月1日時点で ・所有期間が5年以内:90万円 ・所有期間が5年超:50万円 | 翌年の住民税にて支払(6月から) |
結果として1,000万円の土地売却にかかる税金の全項目の総額は約200万円~約390万円が相場であることがわかります。
関連記事:土地売却にかかる手数料はいくら?費用の詳細と目安を一覧で紹介
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書などといった契約書の作成にかかる税金で、契約書に記載されている金額に応じた収入印紙を貼付することで納めます。そのため、契約締結時には印紙税額と同様の収入印紙を準備しておく必要があります。
一部の契約書に対しては、2027年3月31日までに契約する場合に限り軽減税率が適用されますが、ここでは本則の税額を紹介します。
契約金額 | 税額 |
---|---|
10万円超〜50万円以下 | 200円 |
50万円超〜100万円以下 | 500円 |
100万円超〜500万円以下 | 1,000円 |
500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 |
1億円超〜5億円以下 | 6万円 |
5億円超〜10億円以下 | 16万円 |
10億円超〜50億円以下 | 32万円 |
50億円超〜 | 48万円 |
登録免許税
登録免許税とは、登記手続きの際にかかる税金です。
例えば土地の売買によって所有権が移転した場合、所有権移転登記を行わなければなりません。その際には不動産の価格(固定資産課税台帳に記載されている価額)の0.2%の登録免許税がかかります。ただ、所有権移転登記の場合は買い主が登録免許税を負担することになっています。
また、ローンが残っている土地を売却し、売却金額で完済した場合、抵当権抹消登記を行わなければなりません。その際にかかる登録免許税は1,000円(不動産1筆あたり)です。
通常、登記手続きは引渡しの際に行われます。そのため、支払うのは引渡し時です。
仮に登記手続きを司法書士などに依頼する場合は、別途司法書士に対する報酬が発生しますので、注意しておきましょう。
所得税
所得税とは個人の1年間(1月1日~12月31日)に得た所得にかかる税金です。
土地を売って利益が出た場合、譲渡所得とされ所得税の対象です。
また利益がそのまま課税所得金額になるわけではなく、「土地の売却価格-(取得費+売却にかかった費用)」が課税譲渡所得金額になります。
さらに、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年を超えている場合と5年以下では適用される税率が異なる点にも注意しておきましょう。
仮に所有期間5年超の土地を売却し、1,000万円の利益を得た場合の所得税率は15%ですので、約150万円の税金を払う必要があります。支払い時期は売却した年の翌年の確定申告時(原則2月16日~3月15日)です。
住民税
住民税とは地方税の1つで、その年の1月1日に住所がある自治体に納める税金です。住民税は所得金額にかかわらず一定の金額を納める均等割と、所得金額に応じて納める所得割に分かれています。
所得割の税率は基本的には10%ですが、所得の種類によっては異なる税率が適用されます。ちなみに譲渡所得の場合、長期譲渡所得だと5%。短期譲渡所得だと9%が課税される仕組みです。
住民税は他の所得と合わせて計算され、翌年の6月から翌々年の5月に支払います。
上と同じように長期譲渡所得が1,000万円だった場合、5%の税率が適用され、支払う住民税は50万円です。
土地を1000万で売却した場合の税金の計算方法
土地を1,000万円で売却した際の印紙税は1万円、そして登録免許税は1,000円です。そして、所得税および住民税は土地を売却した際に得た利益に基づいて課税されます。
その際に用いる計算式は以下のとおりです。
土地の売却価格-(取得費+売却にかかった費用)
計算シミュレーション
仮に1,000万円で土地を売却し、その土地の取得費用が250万円、売却にかかる費用が50万円だったとしましょう。そうすると、課税所得金額は「1,000万円-(250万円+50万円)」=700万円です。
長期譲渡所得に該当する場合、所得税率は15%。住民税率は5%ですので、「(1,000万円×15%)+(1,000万円×5%)」=200万円です。
短期譲渡所得に該当する場合、所得税率は30%、住民税率は9%になりますので、「(1,000万円×30%)+(1,000万円×9%)」=390万円です。
なお、計算にあたり復興特別所得税は加味していません。
ただ、取得費用が分からない場合もあるでしょう。特に相続した土地などの場合、いくらで購入したのか、資料が見当たらないケースも考えられます。その場合は取得費を売却金額5%として計算することになっています。そうなると、課税所得金額は「1,000万円-(1,000万円×5%+50万円)」=900万円となり、税額は以下のとおりです。
- 長期譲渡所得に該当する場合:180万円
- 短期譲渡所得に該当する場合:351万円
土地を1,000万で売却した際に使用できる控除・特例
土地を1,000万円で売却し、利益を得た場合には、以下の控除制度や特例を利用できます
- 居住用財産用の3000万円特別控除
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
居住用財産用の3,000万円特別控除
自分が住んでいる家や土地を売った場合、所有期間に関係なく、譲渡所得金額から最大3,000万円が控除できます。
ただし、この特別控除を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 自分が住んでいる家や土地を売ること
- 以前住んでいた場合は住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売ること
- 売った年の前年および前々年に3,000万円の特別控除や自宅の譲渡損失についての損益通算もしくは繰越控除の特例を受けていないこと
- 売った年やその前年、前々年にマイホームの買い替え特例や交換特例を受けていないこと
- 売った土地や家において、収用などに適用される他の特例の適用を受けていないこと
- 売主および買主が親子もしくは夫婦など特別な関係ではないこと
また、この特例を受ける際には、必要書類と合わせて確定申告を行わなければなりません。
相続空き家の3,000万円特別控除
相続もしくは遺贈によって取得した家や土地を2027年3月31日までに売却し、以下の要件に当てはまる場合は、譲渡所得金額から最大3,000万円までの控除が受けられます。
ただし、2024年1月1日以降に売却し、その家や土地の相続人が3人以上の場合は最大2,000万円までです。
【要件】
- 相続もしくは遺贈された家や土地が以下の全てに当てはまること
- 1981年5月31日以前に建築されている
- 区分所有建物登記がなされていない
- 相続開始の直前において、被相続人以外に住んでいた人がいない
- 相続もしくは遺贈によってその家や土地を取得したこと
- 相続時から売却時まで、事業や賃貸などに利用されていないこと
- 売却時に一定の耐震基準が認められること
- 相続開始があった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
- 売却代金が1億円以下であること
- 売却した家や土地について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用などの特別控除を受けていないこと
- 同じ被相続人から相続もしくは遺贈によって取得した家や土地においてこの特例を受けていないこと
- 買主が夫婦もしくは親子など特別な関係でないこと
10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
所有期間が10年以上ある自宅を売却した場合、長期譲渡所得の税額が軽減される特例です。
この特例を受けるためには、以下の全ての要件を満たさなければなりません。
【要件】
- 日本国内にある、自分が住んでいる家もしくは土地を売却すること
- 売却した年の1月1日時点での所有期間が10年を超えていること
- 売却した年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていない
- 売却した家や土地について、マイホームの買換えや交換の特例など、他の特例を受けていないこと
- 買主が夫婦や親子など特別な関係にないこと
ちなみに、この「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は、自分の家や土地を売却した際の3,000万円の特別控除と併用可能です。
この軽減税率が適用された場合、税額は以下のようになります。
課税長期譲渡所得金額 | 税額 |
---|---|
6,000万円以下 | 課税長期譲渡所得金額×10% |
6,000万円超 | (課税長期譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円 |
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続もしくは遺贈によって取得した土地や建物などの財産を、一定期間に売却した場合、相続税額のうち一定額を売却した資産の取得費に加算できる特例です。
特例を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 特例を受ける人が相続もしくは遺贈によって財産を取得したこと
- 該当する財産を取得した人に相続税が課されていること
- 該当する財産を相続開始日の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年を経過するまでに売却していること
この特例によって取得費に加算できる金額は、以下で計算された金額です。
「特例を受ける人の相続税額×{(特例を受ける人の相続税の課税財産の基礎とされた売却した財産の相続税評価額)/(特例を受ける人の取得財産の価額+特例を受ける人の相続時精算課税適用財産の価額+特例を受ける人の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額)}」
土地を1,000万で売却した際には税金以外にも費用がかかる!
土地を1,000万円で売却した際には、上で紹介した税金以外にも費用が発生します。売却時に慌てることのないよう、どのくらいの費用が必要なのか、あらかじめ把握しておきましょう。
手数料・費用 | 費用の目安 | 支払い時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | 30万円 | 売買契約締結後 |
印紙税 | 1万円 | 売却契約締結時 |
登録免許税 | 1,000円 | 引渡し時 |
書類取得費用 | 登記簿謄本:1通あたり数百円~1,000円 固定資産税評価証明書:400円程度 地積測量図:数万円~数十万円 | 取得時 |
建物解体費用 | 数十万円~数百万円 | 建物解体時 |
最終的に1,000万円の土地を売却する際にかかる費用は230万円~数百万円かかることが分かります。
関連記事:土地売却の流れは?土地を高く売るコツや費用・注意点を解説
土地売却ならイエカカクがおすすめ
土地を売却する際には、不動産会社に査定依頼を行う必要があります。その際に大切なことは、複数の不動産会社に対して査定依頼を行い、比較することです。
安心して任せられる不動産会社を見つけることが売却の成功を左右するといっても過言ではありません。
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