不動産を売った時の税金はいくら?いつ払う?わかりやすく解説

不動産を売却して利益を得た場合、その利益に応じた税金を支払わなければなりません。また売却手続きにあたり必要な税金もあります。

今回は不動産を売ったときの税金にはどのような種類があり、それはいくらなのか、またその支払時期について解説します。不動産を売ったときに利用できる税金の控除や特例制度についても紹介しますので参考にしてください。

目次

不動産を売った時の税金はいくら?

実際に不動産を売ったときには、どの税金がどのくらいかかるのでしょうか。税金の種類と目安について以下にまとめましたので参考にしてください。

税金の種類税額の目安
印紙税契約書に記載されている金額による
譲渡所得税最終的に計算した課税所得金額と所有期間に応じた税率による
住民税最終的に計算した課税所得金額と所有期間に応じた税率による
登録免許税所有権移転登記:固定資産税評価額×1.5%

印紙税

印紙税とは、契約書などに記載されている金額に応じた税金で、契約書に収入印紙を貼付することによって納めます。記載されている金額に応じた印紙税額は以下のとおりです。

契約金額税額(軽減税率適用)
10万円〜50万円以下200円
50万円〜100万円以下500円
100万円〜500万円以下1,000円
500万円〜1,000万円以下5,000円
1,000万円~5,000万円以下1万円
5,000万円~1億円以下3万円
1億円~5億円以下6万円
5億円~10億円以下16万円
10億円~50億円以下32万
50億円~48万円

ちなみに軽減税率が適用されるのは、現時点では2027年3月31日までに締結された契約書までです。その後は、本来の税率に戻る予定ですので国税庁のホームページで確認しておきましょう。

譲渡所得税

不動産を売って最終的に利益がでた場合、その利益は譲渡所得となり、課税所得金額に応じた譲渡所得税を支払わなければなりません。

課税所得金額は、以下で求められます。

売却価格-(取得費+売却にかかった費用)-特別控除額

仮に売却価格が4,000万円、取得費が3,000万円、売却にかかった費用が500万円で特別控除の適用がない場合、4,000万円-(3,000万円+500万円)=500万円が課税所得金額です。

また、譲渡所得税の税率は、不動産を売った年の1月1日時点の所有期間が5年超か5年以下かで異なります。

所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得に該当し、税率は15%です。しかし、5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率が30%になってしまいます。

上の例で所有期間が5年超の場合、税率は15%ですので、譲渡所得税は500万円×15%=75万円です(復興特別所得税は加味していません)。

住民税

住民税とは、私たちが住む地域の行政サービスを行うための費用として徴収されるもので、前年の所得に応じて計算され、翌年の6月から翌々年の5月まで納める税金です。

給与所得者の場合は、社会保険料などと一緒に毎月の給与から差し引かれますが、自営業者の場合は自分で納めなければなりません。

そして、家を売った際の譲渡所得も住民税の対象です。

長期譲渡所得の場合は5%、短期譲渡所得の場合は9%の住民税を翌年の6月から納めることになります。

上の例だと、長期譲渡所得の場合は500万円×5%=25万円、短期譲渡所得の場合は45万円です。

登録免許税

登録免許税とは登記の際に必要になる税金です。不動産を売ったときには、所有権移転登記が必要になり、税額は以下のとおりです。

所有権移転登記:固定資産税評価額×1.5%

仮に売却した不動産の固定資産税評価額が2,800万円だった場合、納める登録免許税は42万円です。

ただ、2026年3月31日までの登記については軽減税率が適用されますが、その後は2%となりますので注意しておきましょう。

不動産を売った時の税金はいつ払う?

不動産を売却した際にかかる費用について把握すると同時に、いつ支払うのかを知っておくことで計画的にお金を用意できます。

不動産を売った時の税金を支払うタイミングは以下のとおりです。

税金の種類支払いのタイミング
印紙税売買契約締結時
譲渡所得税確定申告時
住民税翌年の6月から翌々年の5月
登録免許税引渡し時

不動産を売った時に利用できる税金の控除や特例

不動産を売ったときには、以下の特別控除や特例を利用できます。これらの特別控除や特例を利用することで結果的に税金がかからないケースもありますので、必ずチェックしておきましょう。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買い替え特例
  • 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

これらの控除や特例制度の内容について、以下で詳しく解説します。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除とは、自宅を売却して利益が出た場合に利用できる特別控除額で、課税譲渡所得金額から最高3,000万円まで控除できる仕組みです。

控除できるのは、3,000万円もしくは課税譲渡所得金額が限度になるものの、この特別控除を利用することにより、実際の課税所得金額が0円になり、譲渡所得税を支払わなくても良くなります。

また、課税譲渡所得金額が0円になることにより、譲渡所得にかかる住民税も課税されません。

ただし、この特別控除が適用されるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 自分が住んでいる不動産を売却する
  • 家屋を取り壊した場合は、土地の売買契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の年末までに売却する。また、売買契約締結までに他の用途に利用していない
  • 不動産を売却した前々年までに3,000万円特別控除や譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例、特定の居住用財産の買い替え特例を受けていない
  • 購入者が親近者など特別な関係でない

この特別控除は、所有期間に関係なく適用されます。

参考:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例

10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

日本国内にある自宅を売却した場合で一定の要件にあてはまる場合、譲渡所得税の税率が軽減される特例が用意されています。

通常、長期譲渡所得の税率は15%ですが、要件を満たすことで以下のとおり税率が軽減されます。

譲渡所得金額税率
6,000万円以下譲渡所得金額×10%
6,000万円超(譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円

この特例を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 日本国内にある自宅を売却する
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている
  • 売却した年の前々年までにこの特例を受けていない
  • 特定の居住用財産の買い替え特例を受けていない
  • 購入者が親子など特別な関係でない

ちなみに10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例と3,000円の特別控除額は併用可能です。

参考:国税庁|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

特定の居住用財産の買い替え特例

特定の自宅を2023年12月31日までに売却し、新しい家に買い替えた際には、一定の要件を満たす場合に限り、その譲渡所得による課税を買い替えた家を売却するまで繰り延べられる特例です。

通常、自宅を売却して利益が出た場合、課税譲渡所得金額に対して所得税が課税されますが、特例を受けることにより、買い替えた家を売却するまで税金を支払わなくても良くなります。

この特例を受けるための要件は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいた家を売る
  • 自宅を売却した年および前々年までに3,000万円特別控除や軽減税率の特例、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を受けていない
  • 売却した自宅と買い替えた自宅が日本国内にある
  • 売却代金が1億円以下である
  • 自宅の所有期間が10年以上ある
  • 買い替える建物の床面積は50平方メートル以上、かつ土地の面積が500平方メートル以下である
  • 自宅を売却した年の前年から翌年までの間に買い替える
  • 買い替える家が一定の耐震基準を満たす
  • 自宅の売却先が親子など特別な関係でない

参考:国税庁|No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

自宅を売却した年の1月1日時点で所有期間5年超の自宅を売却し、損失が発生した場合、一定の要件のもとでその損失を他の所得と損益通算できます。また損益通算の結果控除できなかった額については売却した年以後3年にわたり繰り越して控除可能です。

この特例は新たに自宅を買い替える場合とそうでない場合で要件が異なり、買い換えの場合は自宅を売った年の前年から翌年までに新しい家を購入し、その年の年末に住宅ローン残高があるなど要件を満たさなければなりません。

買い替えない場合は、売却した家の住宅ローンが残っているといった要件を満たす必要があります。

参考:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
参考:国税庁|No.3392 「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の対象となる「譲渡資産」及び「特定譲渡」とは

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不動産を売却したときには、印紙税をはじめさまざまな税金がかかります。それぞれの税金を支払う時期も異なることから、いつどのくらいの税金を払う必要があるのかをあらかじめ把握し、準備しておきましょう。

また自宅の売却においては、税負担を少なくするための特例制度が用意されています。それぞれ決まった要件を満たす必要がありますが、要件の内容を確認し、上手に活用しましょう。

不動産を売却する際には、不動産会社に査定依頼を行う必要がありますが、1社だけに依頼するのではなく複数の不動産会社に依頼することが大切です。

複数の不動産会社に査定を依頼するときには、一括見積もりサイトの利用を考えてみましょう。

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