マンションを売却する際の見積もり方法3つ｜査定額に影響する要素も

2024年9月17日

マンションを売却するにあたっては、不動産会社に査定を依頼し、どのくらいの価格で売れるのかが分かる見積もりを取る必要があります。

ただ査定方法も複数あり、どの査定方法を採用するかで見積もり結果も異なります。

今回は、査定方法にはどのようなものがあるのかを解説するとともに、見積もりの際にチェックされる点や見積もりに関する注意点について紹介します。

これからマンションの売却を考えている方はぜひ参考にしてください。

マンションの査定だけを依頼できる？

実際にマンションを売却する時期や本当に売却する意思が固まっていなくても、不動産会社に査定を依頼できます。

基本的に査定は無料で行ってもらえるので、今だったらどのくらいの値段で売れるのかといった情報を得る目的で査定を依頼してもいいでしょう。査定結果を見て、今は売る時期ではないと判断できますし、所有しているマンションの価値を知ることも今後の方向性を考えるうえでの重要なポイントになります。

ただし、依頼する不動産会社は複数社を選ぶようにしましょう。一つの不動産会社だけでは査定結果の信憑性が図れない可能性があるからです。

マンションを売却する際の見積もり方法

マンションを売却する際の見積もり方法には、以下の3つがあります。

匿名査定
机上査定
訪問査定

それぞれどのように異なるのか、以下で詳しく解説します。

匿名査定

匿名査定とはAI査定ともいわれ、過去の不動産取引データなどを基にして査定価格を算出する方法です。

所定の項目を打ち込むだけで簡単に査定価格が分かる反面、取引データが少ない地域やこれまでの取引データが少ない不動産会社だと実際の査定価格と離れた結果が算出される可能性がある点に注意が必要です。

実際に査定を依頼する際には、自分の名前やメールアドレスなどを入力しなければならないケースが多いなか、匿名で依頼できるため、不動産会社の営業担当からの連絡をなしにできる点はメリットでしょう。

匿名査定は、売ろうとしているマンションに似ているケースの査定価格を知りたい人や、売却する場合にどのくらいで売れるかといった大まかな情報を知りたい人に向いています。

机上査定

机上査定とは、査定依頼を受けた不動産会社の担当者が、物件の情報や類似した取引事例、物件がある場所の市場動向などを基に査定価格を算出する仕組みで、匿名査定よりも精度の良い査定結果が期待できるといったメリットがあります。

ただ、手作業になってしまうため、査定結果が出るまでに2～3日程度かかる点がデメリットです。すぐに査定価格を知りたい場合は匿名査定を選ぶとよいでしょう。

査定結果は不動産会社の営業担当から連絡が来ますので、どのような根拠に基づいて算出したのかなどといった詳しい説明を受けられます。また、その過程で営業担当者や不動産会社との相性を見極めることもできますので、売却の意思がある程度固まっている人におすすめです。

訪問査定

訪問査定は、依頼を受けた不動産会社の担当者が実際に物件を見て最終的な査定価格を算出する方法で、3つの査定方法の中で一番精度の高い結果が得られます。

机上査定は、実際に物件を見ていないため、物件の劣化具合や周辺環境などを正確に把握できません。しかし訪問査定であれば、実際に現物を見てもらえるため、より精度の高い見積もりを得ることができます。

ただ、不動産会社の担当者が家に来るため、立ち会わなければならず、日程調整などに時間がかかる点がデメリットです。

訪問査定は、実際に売却する意思が固まっており、より高い精度の見積もりを望んでいる人に向いている査定方法です。

マンションの見積もりではどこを見る？

不動産会社が査定依頼を受けた際、マンションのどのような点に注目して査定するのでしょうか。

ここでは、マンションの査定価格に影響するポイントについて紹介します。

立地

立地とは、マンションが建っている場所のことで、最寄りの駅からの距離や周辺環境などが影響します。

近くに公園や学校があるような立地であれば、子育て世帯のニーズが高まりますし、スーパーやコンビニエンスストアの場所、近くにどのような病院があるかなどもチェックされます。特に最近ではコンビニエンスストアが近くにあることが重視される傾向にあり、コンビニエンスストアまでの距離なども査定価格に影響します。

また、今後近くのエリアに商業施設が建つなどの計画があれば、より人気も高まるでしょう。

逆に公園があっても人がいない、商店街に人が少ないなど今後人が少なくなっていく傾向が見られる場合は評価が下がる可能性があります。

築年数

一般的に築年数は浅いほど査定価格は高く、古いほど低くなります。ただ、築年数だけで判断するのではなく、室内がきれいに保たれていれば評価は高くなります。

定期的にリフォームを行っている物件なら、相場よりも高い査定価格になる可能性もあるでしょう。

また、築年数が経つにつれて価格が下がる特徴を活かし、安い価格で購入しリノベーションして住もうと考える人もいますので、築年数が古いから売れないわけではないことも理解しておきましょう。

間取り・広さ

間取りについてはさまざまなタイプがありますが、重要なポイントは、今の時代のニーズに合った間取りであるかどうかです。

マンションでも廊下と部屋との段差が有る場合とない場合では、ない方が今後バリアフリー設計にする必要がないため人気が出ます。

また、家事動線も重要なポイントです。キッチンからダイニングまでの距離や冷蔵庫を設置する位置、洗濯機を置く場所から干す場所までの動線などがスムーズな方がいいでしょう。また、室内にも物干し場があるかどうかで査定価格も変わります。

訪問査定の場合は室内までしっかりとチェックしますので、動線を防ぐものはできるだけ片付けておくようにしましょう。

日照・風通し

一般的に南側から日光が当たる物件は人気があります。東向きの部屋だと朝は日光が入りますが、午後からは暗くなってしまいますし、西側に向いている部屋は西日があたり、季節によっては気温が上がり過しにくい印象を持たれます。北向きの部屋は太陽の光がほとんど入らないため、どうしても人気が下がってしまいます。

また、風通しもチェックされるポイントです。特に角部屋は風が通りやすく、室内の換気もしやすいため人気があります。ただ、角部屋ではなくても窓を上手に利用することで風が通る場合もありますので工夫してみましょう。

ただし、湿気が溜まりやすい場所については、カビが生えないよう注意を怠らないほか、普段から換気をよくするように心がけましょう。

耐震性能

地震が多い日本では耐震性がしっかりしていることが大きなポイントです。そのため、新耐震基準を満たしていると高く評価されます。

耐震基準には新耐震基準の他に旧耐震基準もありますが、新耐震基準は震度7でも耐えられるといわれています。

マンションに関しては築年数が耐震性能に直結しますが、築年数が古くても必要に応じた耐震工事を行っているところもありますので、今までにそのような工事を行っているなら、きちんと担当者に伝えるようにしましょう。

内装・設備

住んでいるとどうしても室内も劣化してしまいます。そのため、設備を定期的にリフォームしているか、また内装も状態に応じて適切な処置を施しているかなどをチェックします。

特に水回りの設備はよく見られる点ですので、普段からきれいにしておくのはもちろん、訪問査定の前にはハウスクリーニング業者を利用することも考えてみましょう。水回りをきれいにしておくことで評価が高まる可能性があります。

また、給湯器なども交換時期を超えていないかチェックしておき、必要であれば交換しておくことをおすすめします。

そしてリフォームを行った場合は、いつ行ったのかなど、詳細をまとめて伝えておくと安心です。

管理体制

マンションの入口であるエントランス部分や、共用部分である廊下や階段などの掃除や手入れが行き届いているかもチェックされるポイントです。

管理会社がしっかりしていれば、掃除は基本毎日行われますし、ゴミ捨て場もきれいに保たれているでしょう。

また防犯対策がしっかりしているかもチェックされます。オートロックシステムであることはもちろんインターホンもカメラ付きのものであればなおよいでしょう。また、防犯カメラが設置されているかも評価に影響を与えます。

駐車場の有無

マンションの駐車場台数が、戸数に対して十分に確保されていることがチェックされます。また駐車場のタイプが平面なのか機械式なのかも評価に影響します。

機械式の場合は定期的なメンテナンスが欠かせません。これまでどのようなメンテナンスを行ってきたのか、また不具合が発生したときにどのように対応したのかなども伝えておきましょう。

最近は車を持たない人も増えてきましたが、車を所有している人にとっては、購入しようとしているマンションに駐車場がなければマイナスの評価になってしまいます。

販売会社名

マンションを販売した会社も大きなチェックポイントです。販売会社が三菱や三井系列のブランド名を持っている会社なら人気が高く、評価も高くなるでしょう。

多くの実績を持つ大手の不動産会社なら、安心して購入できると感じる人も少なくありません。実際にしっかりした販売会社なら、購入後のトラブルも起きにくいといわれており、評価も上がる傾向にあります。

ただ、あまり知られていない販売会社だからといってマイナスに働くわけではありません。なぜなら、住み始めた後の生活に大きく影響するのは管理会社だからです。そのため、管理がしっかりしていれば、それなりの評価がなされるはずです。

管理費用・修繕積立金

マンションの場合、毎月管理費用を支払わなければなりません。この費用が相場よりも高いとマイナスの影響を与えてしまいます。管理費用は毎月払うものですので、年間に換算すると大きな費用になります。さらにマンションをローンで購入するとなるとその支払いも発生し、家計に負担をかける原因にもなりかねません。

修繕積立金も管理費用同様にチェックされるポイントですが、過去の修繕工事の実施時期やその際の追加料金の有無なども確認しておきましょう。

マンション売却時の見積もりに関する注意点

マンション売却に見積もりを取る場合は、以下の点に注意しましょう。

査定額の根拠を確認する
自分でも相場を調査する
相見積もりを取る

査定額の根拠を確認する

査定を依頼し、見積もりを受け取った際には必ず査定額を算出した根拠を聞いておきましょう。なぜなら査定には明確な取り決めがないため、不動産会社によって大きく異なるケースがあるためです。

なかには相場よりも高い見積もりを提示してくる不動産会社もありますが、本当に高く売れるのか、それとも査定を担当した人が経験不足できちんとした見積もりができていないのかは、こちらでは判断できません。もし後者だった場合、媒介契約を締結して売却活動を行っても、購入希望者が見つからないといった事態になりかねません。

そのような事態を起こさないためにも、自分でもある程度の相場を把握しておくようにしましょう。