不動産の専任媒介契約とは？他の媒介契約との違いを分かりやすく解説

不動産の売却にあたり、仲介する不動産会社との専任媒介契約について詳しく知りたい人は多いのではないでしょうか。専任媒介契約は売主と不動産会社との間で最も多く選ばれている契約方式で、効率的な売却活動が期待できます。

この記事では専任媒介契約の特徴、他の契約方式との違い、メリットや注意点を詳しく解説します。スムーズな不動産の売却のため、ぜひ参考にしてください。

不動産の専任媒介契約とは

専任媒介契約とは不動産会社のような仲介業者が、不動産の売主や買主と締結する媒介契約の一種です。媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、専任媒介契約は不動産売却時に最も多く選ばれている形式です。

そもそも媒介契約とは

媒介契約とは不動産の売買や賃貸借において、売主・買主または貸主・借主の間に立って取引を仲介する不動産会社と、依頼者（売主や貸主）との間で結ばれる契約です。媒介契約により、不動産会社は物件の紹介や交渉、必要書類の作成など、取引成立に向けたさまざまな業務を行います。売買や賃貸借の成約時には、依頼者から不動産会社に報酬が支払われる仕組みです。

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれ不動産会社の権限や義務が異なります。そのため、依頼者は自身のニーズや状況に応じて、最適な契約形態を選択する必要があります。以降の章で、3種類の媒介契約について詳しく見ていきましょう。

専任媒介契約と一般媒介契約の違い

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に依頼できる契約形態です。一方、専任媒介契約は特定の1社のみに依頼する形式で、両者には以下のような違いがあります。

	専任媒介契約	一般媒介契約
契約できる不動産会社の数	1社	複数社
自己発見取引	可	可
契約の有効期間	最長3ヵ月	法令上の制限なし
指定流通機構への登録	7日以内に登録	なし
業務状況の報告義務	2週間に1回以上	なし

一般媒介契約では、売主は複数の不動産会社に同時に物件の売却を依頼できます。 また、売主自身で買主を見つけて売買する「自己発見取引」も可能です。 一般媒介契約では複数の会社が取り扱うことで早期売却を目指せる一方、各社とも自社で契約できる保証がないため、売却活動が消極的になるリスクもあります。

専任媒介契約では、売主は1つの不動産会社にのみ物件の売却を依頼します。 ただし、売主自身の自己発見取引は可能です。不動産会社には7日以内の指定流通機構（レインズ）への物件登録義務と、2週間に1回以上の業務状況の報告義務があります。売主と専任媒介契約を結んだ不動産会社は物件の仲介を独占的に行えるため、積極的な活動による早期の売却が期待できます。

専任媒介契約と専属専任媒介契約の違い

専属専任媒介契約とは売主が特定の不動産会社1社のみに媒介を依頼し、売主自身は買主探しを行わない契約形態です。専属専任媒介契約では、不動産会社が全面的に売却活動を行います。

	専任媒介契約	専属専任媒介契約
契約できる不動産会社の数	1社	1社
自己発見取引	可	不可
契約の有効期間	最長3ヵ月	最長3ヵ月
指定流通機構への登録	7日以内に登録	5日以内に登録
業務状況の報告義務	2週間に1回以上	1週間に1回以上

専任媒介契約と専属専任媒介契約の主な違いは、売主の自己発見取引の可否です。専任媒介契約では、売主が自ら買主を見つけて直接取引する自己発見取引が認められています。一方、専属専任媒介契約では自己発見取引を含め、すべての取引を契約した不動産会社を通して行わなければなりません。

また、専属専任媒介契約の場合、不動産会社は指定流通機構への物件登録は5日以内、業務状況の報告は1週間に1回以上行う必要があります。

不動産の専任媒介契約のメリット

不動産の売却の際に不動産会社と専任媒介契約を結ぶ、主なメリットは以下のとおりです。

専任媒介契約では、売主は不動産会社1社にのみ物件の売却を依頼します。そのため、不動産会社は他の会社との競合がありません。一般媒介契約より積極的な広告や販売活動が期待でき、早期売却を目指せる可能性が高まります。

また、専任媒介契約では自己発見取引が認められています。そのため、不動産会社の売却活動に加えて売主自身の人脈や情報網を活用して、より早期に希望の条件で売却できる可能性も広がるでしょう。自己発見取引が成立した場合、売主は仲介手数料を支払う必要がないため、売却金額を全額受け取れます。

不動産の専任媒介契約を結ぶ際の注意点

不動産の売却で不動産会社と専任媒介契約を結ぶ場合、以下の点に注意が必要です。

専任媒介契約の注意点は、契約する不動産会社選びにあります。以下にて、詳しく解説します。

囲い込みに注意する

専任媒介契約を結ぶ際は、不動産会社による「囲い込み」に注意が必要です。囲い込みとは、売却依頼を受けた不動産会社が自社での両手取引（売主と買主の両方から仲介手数料を得ること）を目的に、他社に物件情報を公開せず、買主を独占的に探す行為を指します。

囲い込みの手口としては、以下のようなものがあります。

囲い込みが行われると、売主は他社経由で見つかるかもしれない買主を逃してしまい、売却機会を失ってしまいます。専任媒介契約を結ぶ際は、不動産会社が囲い込みをしないよう、物件情報を適切に公開し、他社からの問い合わせにも誠実に対応するかを確認しておく必要があります。

不動産会社選びに注意する

専任媒介契約では売却活動を1社に任せることになるため、不動産会社選びは慎重にすべきです。 悪質な会社や売却活動に消極的な会社を選んでしまうと、売却が長引いたり、希望価格での売却が難しくなったりする可能性があります。

以下は、専任媒介契約に不適切な不動産会社の一例です。

不適切な不動産会社との専任媒介契約を避けるには、複数の会社から査定を受け、その対応や提案内容を比較してみるといいでしょう。優良な不動産会社を選ぶと、専任媒介契約のメリットが最大限に活かされ、スムーズな取引を実現できる可能性が高まります。

不動産の専任媒介契約が向いている人の特徴

これまでの内容を踏まえ、不動産の専任媒介契約が向いている人の特徴をまとめます。専任媒介契約が向いているのは、以下のような人です。

専任媒介契約が向いているのは自身のネットワークで買い手を探しつつ、不動産会社の営業力も活用して早期に売却を目指す人といえます。

自分で買主を見つけられる可能性がある人

自分で買い手を見つけられる可能性がある人は、専任媒介契約が適しています。専任媒介契約では、売主による自己発見取引が認められているためです。

自己発見取引が成立した場合、売主は仲介手数料を支払う必要がないため、売却代金を丸々受け取れます。つまり、自力で買い主を見つけられる可能性がある人は、専任媒介契約によって仲介手数料を節約できる可能性があるのです。

例えば、以下のような人は、自分で買い手を見つけられる可能性が高いといえます。

自己発見取引の可能性がある人が専任媒介契約を結ぶと売却の機会が増え、早期の売却につながりやすいでしょう。

売却活動にかける時間や手間がない人

売却活動にかける時間や手間が限られている人は、専任媒介契約がおすすめです。不動産売却は、多くの時間と手間がかかる作業です。 特に、仕事や子育てなどで忙しい人や、遠方に住んでいて頻繁に物件に足を運べない人にとっては、大きな負担となります。

専任媒介契約では、これらの売却活動を不動産会社に一任できます。 不動産会社は、物件の査定から広告掲載、内覧対応、契約手続きまで、売却に必要な業務をすべて代行してくれます。

一方、一般媒介契約では、複数の不動産会社に同時に売却を依頼するため、各社との連絡や調整が必要となり、売主の負担が大きくなります。

時間や労力をかけずに効率的に不動産を売却したい人は、専任媒介契約を選ぶといいでしょう。

複数の不動産会社とのやりとりが面倒な人

不動産の売却にあたり、複数の不動産会社とのやりとりを面倒に感じる人は、専任媒介契約を選ぶといいでしょう。専任媒介契約では売主が特定の不動産会社1社のみに媒介を依頼するため、他の不動産会社とのやりとりが不要になるためです。

一般媒介契約では、売主は複数の不動産会社に売却活動を依頼できます。しかし、複数の会社とのやりとりは、売主にとって大きな負担となります。物件情報の提供、現地案内の日程調整、売却状況の確認など、各社とのコミュニケーションに多くの時間と手間を割かなければなりません。

専任媒介契約を結ぶと、売主は1社だけとやりとりすればよいため、コミュニケーションの手間が大幅に減ります。仲介業者との信頼関係を築きやすくなり、売却活動もスムーズに進みやすくなるでしょう。

不動産の売却を検討しているならイエカカクがおすすめ

専任媒介契約は、不動産会社1社のみとの契約により効率的な売却活動が期待できる一方で、不動産会社選びが非常に重要になります。適切な不動産会社選びによって、早期売却や希望条件での取引が可能になる可能性が高まります。

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