マンション売却を検討しているなかで、どれほどの利益が残るのかという疑問を抱くこともあるでしょう。マンション売却では、売却代金をそのまま受け取れるわけではなく、売却にかかる費用や税金などを差し引いた金額が手元に入ってきます。マンション売却後に新居を購入したり引っ越したりする場合は、売却費や税金を見据えた資金計画を立てる必要があります。
この記事では、マンション売却の手取り額のシミュレーションや、売却時にかかる諸経費を解説します。売却費を抑えるコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
マンション売却の手取り額の計算方法
マンション売却では、売却代金をそのまま得られるわけではありません。実際に手元に入ってくるのは、売却価格から仲介手数料や住宅ローン残債、税金を差し引いた金額です。マンション売却の手取り額を求める際は、以下の式を使います。
手取り額=売却価格 ー(住宅ローン残債+税金+諸費用)
マンション売却の手取り額をシミュレーション
ここでは、マンション売却の手取り額を実際に計算していきます。以下のケースを例にシミュレーションをしてみましょう。
- 売却価格:1,000万円
- マンションの所有期間:9年
- 売買契約日:令和7年10月30日
- 住宅ローン残債:200万円
- 取得費:1,700万円
- 仲介手数料:30万円
- 登記費用:3.5万円(買主負担)
- ローン返済手数料:2万円
- 3,000万円特別控除:適用なし
このケースでかかる税金は、以下のとおりです。
税金 | 納税額 |
---|---|
印紙税 | 5,000円 |
譲渡所得税 (長期譲渡所得) | (1,000万円-1,700万円-30.5万円)×20.315%=0円 |
手取り額は、以下のとおりです。
1,000万円-(200万円+0.5万円+35.5万円)=764万円
例)【マンションを3000万円で売却した場合のシミュレーション】
以下のケースを例にシミュレーションをしてみましょう。
- 売却価格:3,000万円
- マンションの所有期間:9年
- 売買契約日:令和7年10月30日
- 住宅ローン残債:2,000万円
- 取得費:2,500万円
- 仲介手数料:100万円
- 登記費用:3.5万円(買主負担)
- ローン返済手数料:2万円
- 3,000万円特別控除:適用なし
このケースでかかる税金は、以下のとおりです。
税金 | 納税額 |
---|---|
印紙税 | 10,000円 |
譲渡所得税 | (3,000万円−2,500万円−101万円)×20.315%=約81万円 |
手取り額は、以下のとおりです。
3,000万円-(2,000万円+82万円+105.5万円)=812.5万円
マンション売却でかかる諸費用一覧
マンション売却にかかる諸費用には、以下のようなものがあります。
手数料・費用 | 費用の目安 | 支払い時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | 売買価格の3%+6万円+消費税(売却価格が400万円超のとき) | 売買契約時と引き渡し時の2回 |
印紙税 | 1,000~20,000円 (100万円超5,000万円以下のとき) | 売買契約時 |
登記費用 (抵当権抹消) | 不動産1個につき1,000円 司法書士への報酬約1万~3万円 | 不動産の決済・引き渡し時 |
譲渡所得税 | 課税所得金額×20.315%または39.63% | 売却した翌年 |
住宅ローンの返済手数料 | 約1万~5万円 | 不動産の決済・引き渡し時 |
各証明書の取得費 | 約300~500円 | 証明書の取得時 |
ハウスクリーニング費用 | 約3万~8万円 (1DK~3LDKの場合) | ハウスクリーニング依頼時 |
引越し費用 | 約10万~30万円 (2~4人家族の場合) | 引越し時 |
仲介手数料
仲介手数料とは、マンション売却の仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料のことです。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法により売却価格に応じて以下のように定められています。
売却価格(制抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格の5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 売却価格の4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売却価格の3%+6万円+消費税 |
2024年7月1日からは、空き家の流通を促進するために売買価格800万円以下の物件の仲介手数料の上限が「30万円×1.1」まで引き上げられました。
仲介手数料の上限は定められているものの、実際の請求金額は不動産会社によって異なります。仲介手数料は、売買契約時と引き渡し時の2回に分けて支払うのが一般的です。
印紙税
印紙税とは、印紙税法によって定められた文書を作成するときに課税される税金のことです。不動産の売買契約書は、印紙税の対象となります。売主と買主は、契約書に署名・捺印をしたときに印紙税をそれぞれ納めなければなりません。
印紙税の金額は、売買契約書の記載金額によって下表のように異なります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1000万円超5000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5000万円超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
軽減税率は令和9年3月31日までに作成された、記載金額が10万円を超える契約書が対象となります。印紙税は売買契約書の作成時に支払うのが一般的です。
登記費用
登記費用とは、不動産登記に記載されている土地や建物の権利関係などの情報を登録・変更するときにかかる費用のことをいいます。
一般的に住宅ローンが残っているマンションを売却するときは、不動産に設定されている抵当権を解除する「抵当権抹消登記」を行う必要があります。抵当権とは、住宅ローンなどが払えなくなったときの担保として、金融機関が設定する権利のことです。抵当権抹消登記などの不動産登記の手続きをするときは、登録免許税という税金がかかります。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。マンションの場合は、土地と建物のそれぞれに抵当権が設定されているのが一般的で、合計で2,000円かかることが多いです。
加えて、登記手続きを司法書士に委任するときは、司法書士に報酬を支払う必要があります。金額は依頼先によって異なり、1万~3万円ほどが相場です。
登記費用は、不動産の決済・引き渡し時に支払うのが一般的です。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンション売却で発生した売却益にかかる税金のことをいいます。譲渡所得税は、以下の計算式で求めた「課税所得金額」に税率をかけて算出します。
課税所得金額=売却価格-(取得費+売却費用)
取得費とは、不動産を購入する際にかかった費用のことで、マンションの購入代金や登録免許税、仲介手数料などが挙げられます。取得費がわからないときは、売却価格の5%を概算取得費とすることができます。売却費用は、売却するためにかかった仲介手数料や印紙税などのことです。
税率は、不動産を売った年の1月1日時点の所有期間によって以下のように異なります。
区分 | 所有期間 | 税率(※) |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超え | 20.315% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
※所得税、住民税、復興特別所得税を含む
譲渡所得税の納付義務が発生したときは、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をし、その後納税しなければなりません。
住宅ローンの返済手数料
住宅ローン返済中のマンションを売却する際は、ローンを完済して抵当権を抹消するのが一般的です。住宅ローンの残債を一括返済して完済するときは、返済手数料が発生することがあります。手数料は金融機関によって異なり、1万~5万円が相場です。
その他
マンション売却には、仲介手数料や税金のほかにも以下のような費用がかかることがあります。
費用の項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
各種証明書の取得費 | 印鑑証明書や住民票、固定資産税評価証明書などの必要書類の発行にかかる費用 | 300~500円前後 |
ハウスクリーニング費用 | 住居内の清掃をプロに依頼するときの費用 | 業者や間取りによって異なり、1DKから3LDKの場合は3万~8万円ほど |
引越し費用 | 新居への引越しにかかる費用 | 引越し先までの距離や荷物の量によって異なり、2~4人家族では10万~30万円ほど |
ハウスクリーニングは必ずしも実施しなければならないわけではありませんが、住居内の状態によっては買主が見つかりにくくなる可能性があります。マンションをスムーズに売却したい場合には、ハウスクリーニングを検討しましょう。
マンション売却にかかる費用を抑える方法
マンション売却にかかる費用を抑える方法には、以下のようなものがあります。
- 仲介手数料は不動産会社に相談する
- 特例や控除を活用する
それぞれ詳しく紹介します。
仲介手数料は不動産会社に相談する
仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められているものの、売主は必ずしもその金額で支払う必要はありません。なかには、仲介手数料の値引き交渉に対応してくれる不動産会社もあるので、費用を抑えるためにも相談してみましょう。
値引きの相談をする際は、そのほかの不動産会社との契約ができなくなる「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を結ぶことを条件に交渉するのが有効です。複数の不動産会社と契約できる一般媒介契約と異なり、仲介手数料を獲得できる確率が高い契約方法のため、値引き交渉に応じてもらいやすくなるでしょう。
特例や控除を活用する
マンション売却で利益が出たときは、譲渡所得税を納めなければなりません。譲渡所得税は売却価格から不動産の購入・売却にかかった費用を差し引いた課税所得の約20~40%に相当する金額なので、マンション売却時の大きな負担となります。
不動産の売却時にかかる課税所得税を抑えるには、特例や控除を活用するのが効果的です。ここでは、特例の一つである「3,000万円特別控除」の適用条件や活用時の注意点を紹介します。
3,000万円特別控除
居住用のマンションを売却するときは、以下の条件をすべて満たすと、所有期間の長さにかかわらず売却によって得た譲渡所得から3,000万円を控除できます。
- 居住していたマンションを売る
(転居している場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る) - 売却年の前年・前々年に同特例やマイホームの買い替えの特例などを受けていない
- 売主と買主が親子や夫婦などの関係でない
この特例を受けるには、譲渡所得の内訳書を添えて確定申告する必要があります。
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マンション売却の手取り額をシミュレーションする際は、仲介手数料や登記費用、税金などを考慮する必要があります。なかでも、仲介手数料と譲渡所得税は大きな負担となりやすい項目です。売却費を抑えるためにも、不動産会社に仲介手数料の値引き交渉をしたり、特例を活用したりしましょう。
マンションを納得いく価格で売却するためにも、複数の不動産会社の見積もりをとって比較するようにしましょう。
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