保有しているマンションに何らかの理由で住む予定が無くなった時には、売却するか賃貸に出すかで悩む人も多いのではないでしょうか。売却だとタイミング次第では思った値段で売れない可能性もありますし、賃貸に出すとなれば空室リスクや修繕リスクなども考えなければなりません。
今回はマンションを売却するか賃貸に出すかで悩んでいる人に向け、売却および賃貸それぞれのメリットやデメリットを解説するとともに、売却や賃貸に出す際の流れについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
マンションは売却と賃貸、どちらが良いのか
せっかくマンションを購入したとしても、転勤や住み替えなどで住む予定が無くなるケースも考えられます。その際、思い切って売却するのがいいのか、投資物件として賃貸に出す方がいいのか悩む人も多いでしょう。
国土交通省が発表している「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、売却したと答えた人が全体の約70%を占め、賃貸に出している割合は約10%程度でした。
マンションを売却する際と賃貸に出す際のメリット・デメリットについては以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
売却 | ・まとまった資金を得られる ・維持費がかからない ・賃貸よりもハードルが低い ・税制優遇が受けられる | ・タイミングで売却価格が変わる ・資産活用ができなくなる ・売却には諸経費・税金がかかる |
賃貸 | ・家賃収入が得られる ・経費による節税効果が見込める ・再度、住むこともできる ・将来的に売却もできる | ・ランニングコストがかかる ・空室のリスクがある ・住宅ローンの一括返済が必要になる ・入居者トラブルが発生するリスクがある ・管理人都合での解約は難しい |
それぞれのメリットそしてデメリットの詳しい内容について、次の章で紹介します。
マンションを売却するメリット
マンションを売却するメリットは以下のとおりです。
- まとまった資金を得られる
- 維持費がかからない
- 賃貸よりもハードルが低い
- 税制優遇を受けられる
まとまった資金を得られる
マンションを売却することでまとまった資金が得られる点は大きなメリットです。
売却して得た資金についての使い道は自由ですので、子どもの教育費として利用してもいいですし、老後のために貯めておくこともできます。
また、住み替えを考えているなら、住み替え先の新居を購入する資金としても使えるでしょう。
維持費がかからない
マンションを保有していると、固定資産税や都市計画税のほか、管理費や修繕積立金、また駐車場代などがかかります。年間にするとまとまった額になるでしょう。
しかし売却することでこれらの維持費を払う必要がなくなります。維持費が家計の負担になっていたなら、今後は家計にゆとりができるかもしれません。
ちなみに年の途中で売却した場合の固定資産税については、一般的に引渡し日を元に清算し、購入者に負担してもらうことになっています。
賃貸よりもハードルが低い
仮に賃貸に出すとするなら、経営の知識が必要です。もちろん利益を得る必要がありますので、家賃をどのくらいにしたらいいのか、また年間の管理費なども考慮しなければなりません。
また、賃貸に出す場合は住宅ローンを完済していなければなりません。
売却なら、売却価格で住宅ローンが完済できればいいため、賃貸よりもハードルが低いといえます。
税制優遇を受けられる
自宅であるマンションを売却した場合、売却価格によっては利益が出る可能性があります。そしてその場合は、譲渡所得とみなされ、課税譲渡所得金額と所有期間に応じた税金を払わなければなりません。
しかし、自宅を売却した場合には以下のような特別控除や特例などが用意されています。
- 自宅を売却した際の3,000万円の特別控除
- 10年超所有した家を売却した場合の軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買替え特例
- 居住用財産の譲渡もしくは買換えにおける譲渡損失の損益通算もしくは特別控除の特例
これらの特別控除や特例を利用することにより、支払う税金を少なくできます。
マンションを売却するデメリット・注意点
マンションを売却するデメリットには以下のものがあります。
- タイミングで売却価格が変わる
- 資産活用ができなくなる
- 売却には諸経費・税金がかかる
タイミングで売却価格が変わる
不動産の売却価格は不動産市場や時期、築年数などによって変わります。一般的に春や秋など人が移動する時期は需要が多くなることから売却価格が高くなりやすいです。逆に閑散期だと思ったほどの金額ではなかなか売れない可能性もあります。
また、すぐに購入希望者が現れればいいのですが、なかなか売れない場合は売り出し価格を下げながら様子をみることになります。いつ売却してもいいのなら長い目で見ることができますが、住み替えなど売却の期限が決まっている場合は早めに行動する必要があるでしょう。
資産活用ができなくなる
不動産も金融資産の1つです。土地の値上がりによって保有している不動産の価値が上がった時に売却することで多くの売却益を得られる可能性があるでしょう。
特にマンションは戸建てと比べて利便性のいい場所に建っているケースが多いため、今後の都市開発などによっては値上がりが期待できるかもしれません。
また、老後には売却して施設に入る資金の一部に充てることも可能です。
しかし、売却すると保有資産ではなくなるため、資産活用はできなくなります。
売却には諸経費・税金がかかる
マンションを売却する際には諸経費や税金がかかります。諸経費や税金がどのくらいかかるのかについては以下の表を参考にしてください。
種類 | 概要 | 目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 仲介不動産会社に支払う手数料 | 売却価格×3%+6万円 |
印紙税 | 売買契約書に貼付して納める税金 | 売却価格によって異なる |
抵当権抹消費用 | 住宅ローンを完済した際に必要な登録免許税 | 2,000円 |
所得税・住民税 | 売却益に対して課税される税金 | 課税譲渡所得金額と所有期間によって異なる 長期譲渡所得の場合:20% 短期譲渡所得の場合:39% |
売却益が発生しなくても、仲介手数料および印紙税、登録免許税は必ず発生します。また、抵当権設定の手続きを司法書士に依頼した場合は別途報酬が必要になるケースがありますので注意しておきましょう。
また、売却益が発生し、課税譲渡所得金額がある場合は翌年の確定申告の時期に忘れずに申告してください。
マンションを売却する際の流れ
マンションを売却する際の流れは以下のとおりです。
- 必要書類などの事前準備をする
- マンションの査定を受ける
- 不動産会社を選ぶ
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 売却活動を行う
- 売買契約の締結・マンションの引き渡し
- 確定申告を行う
マンションの査定は複数の不動産会社に対して行うのが前提です。ただ、自分で1社ずつ依頼するのは手間に感じるでしょう。またどの不動産会社を選んだらいいのか分からないといった悩みもあります。
その際には一括査定を利用しましょう。
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関連記事:マンション売却の流れ!必要な準備から手順までわかりやすく解説
マンションを賃貸に出すメリット
マンションを賃貸に出すメリットは以下のとおりです。
- 家賃収入が得られる
- 経費による節税効果が見込める
- 再度、住むこともできる
- 将来的に売却もできる
家賃収入が得られる
マンションを賃貸に出すことで、家賃収入が得られる点が大きなメリットです。今の低金利の時代では預金や配当と比較するとマンションを賃貸に出すことで得られる家賃収入の方が大きいでしょう。
また、空室リスク対策を行い、常に入居者がいる状態にしておけばほぼ永久的に家賃収入が得られます。
最近では相続税対策でマンションを賃貸に出す人もいますので、考えてみてもいいかもしれません。
経費による節税効果が見込める
マンションを賃貸に出す際にかかる費用は経費として計上できます。経費は家賃収入から差し引くことができるため、最終的な所得金額を抑えられる効果が得られます。
ただ、費用として認められるものと認められないものがありますので注意が必要です。
費用として認められるものには以下のものがあります。
- マンションの管理費、修繕積立金
- アパートローンの利息
- 賃貸管理会社に支払う委託料
- 固定資産税および都市計画税
- 火災保険料、地震保険料
- 設備の交換費用
- 仲介手数料
- 原状回復費用
- 減価償却費 など
再度、住むこともできる
賃貸に出していても、所有権は自分にあります。そのため将来必要になった際には住むことも可能です。
ただし、入居者がいる場合は退居してもらう必要があり、賃貸借契約を解約しなければなりません。賃貸借契約は借りる側に優位な内容になっており、契約を解消するためには正当な理由と立ち退き料の支払が求められます。
もし、再度住む時期が決まっているなら、普通借家契約ではなく定期借家契約を締結することも考えておきましょう。
将来的に売却もできる
賃貸に出していて、まとまった資金が必要になった際には売却することも可能です。売却はマンションに入居者がいる状態でも行えるので安心でしょう。
自分の好きなタイミングで売却できますし、自分が住んでいるよりも賃貸に出している方が資産価値は下がりにくいともいわれているため、普通に売るよりも高い価格での売却が期待できます。
マンションを賃貸に出すデメリット・注意点
マンションを賃貸に出すデメリット・注意点については以下のとおりです。
- ランニングコストがかかる
- 空室のリスクがある
- 住宅ローンの一括返済が必要になる
- 入居者トラブルが発生するリスクがある
- 管理人都合での解約は難しい
ランニングコストがかかる
マンションを賃貸に出す場合、設備の交換費用や経年劣化による修繕費が必要です。また入居者が退居した際にはクロスの張り替えやフローリングの修理なども行わなければなりません。
入居者の入れ替わりが激しいと、その都度クロスの張り替えなどが必要ですし、水漏れなどの修理費用も発生します。
ただし、マンションの1室を賃貸に出しているのであれば対象となるのは専用部分だけです。外壁の修理などは、管理会社に連絡して対応してらいましょう。
空室のリスクがある
賃貸に出し、常に入居者がいればいいのですが、場合によってはなかなか入居者が見つからないケースも考えられます。
入居者がいないとそもそも期待している家賃収入が入らないばかりでなく、管理費や修繕積立金などは負担しなければならず、最悪の場合収入よりも支出のほうが多い赤字の状態になってしまいます。
空室リスク対策としては、不動産会社に積極的に募集をかけてもらうほか、設備を最新のものに交換するなどが有効です。
住宅ローンの一括返済が必要になる
賃貸に出すマンションのローンが残っている場合、原則として賃貸に出すことはできません。そのため、賃貸に出すなら住宅ローン残債を一括で返済しなければならなくなります。
住宅ローンは自分が住むための家の購入費用を借り入れるローンです。そのため、賃貸に出すとなれば目的が変わってしまい、住宅ローンを使えなくなってしまうのです。
もし、転勤などの事情がありその後再度住む予定があるなどであれば、金融機関に相談してみましょう。今の住宅ローンを不動産投資ローンに借り換えることができる可能性があります。ただ、対応は金融機関によって異なるため、最悪の場合は借り換えができず一括返済を求められることも視野に入れておきましょう。
入居者トラブルが発生するリスクがある
入居者にはいろんな人がいます。年齢も収入も違いますし、生活習慣も異なります。ただ、マンションという集合住宅で生活するには、決められたルールを守る必要があります。
ペット不可としているのに勝手にペットを飼う入居者もいれば、家賃を滞納する入居者もいるでしょう。また、騒音問題で隣や上下の部屋から苦情が来ることもあります。
入居者トラブルを防ぐには、入居者選びを慎重に行うことが大切です。入居者との契約時は不動産会社任せにするのではなく立ち会うなどして、ルールを守って生活してくれる人かどうかを見極めましょう。
また、家賃を滞納する可能性があるなら、家賃保証会社を利用すると安心です。
管理人都合での解約は難しい
借家契約においては、入居者の立場を守ることを前提とした契約内容になっていることから、こちらの都合で退居してもらうのは難しいのが現状です。
借家契約には、普通借家契約、定期借家契約そしてサブリースがありますので、どの契約方法がいいか事前に考えておきましょう。
そのためにも、それぞれの違いをしっかりと理解しておく必要があります。
種類 | 概要 | 家主にとってのメリット |
---|---|---|
普通借家契約 | 1年以上の賃貸借期間が設けられており、契約の更新が可能 | 長期に渡って入居してもらえる |
定期借家契約 | 一般的には契約期間を2年とし、契約の更新は認められない | 自分が住みたいときに合わせて退去してもらえる |
サブリース | 管理会社が物件を借り上げ、又貸しする仕組み | 管理業務を任せられるほか、入居者トラブルがあっても訴訟の当事者にならなくて済む |
マンションを賃貸に出す流れ
マンションを賃貸に出す流れは以下のとおりです。
- 入居者を仲介してくれる不動産会社を探す
- 賃貸借契約の種類を選ぶ
- 不動産会社と契約を結ぶ
- 入居者を募集する
- 賃貸借契約を締結する
マンションを賃貸に出す際には、賃貸収入によってどのくらいの利益が得られるのかを事前にシミュレーションすることが大切です。表面利回りや実質利回りを計算し、最終的に自分が思っているくらいの利益が出るのかどうかを考えましょう。
また、仲介してくれる不動産会社選びも大切です。複数社を比較してより自分の考えに寄り添って動いてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
さらに、将来再度住む予定があるなら、賃貸借契約の種類選びを間違わないように注意しておきましょう。
売却か賃貸かを選ぶ基準
ここからはマンションを売却するか賃貸に出すかを選ぶ基準について紹介する。
基準となるポイントは以下の4つです。
- 住宅ローンの残債額
- 物件の状態・条件
- 利回り
- 将来的に住む予定があるかどうか
住宅ローンの残債額
賃貸に出す場合は住宅ローンの残債を一括返済しなければなりません。そのため、今の住宅ローン残債がどのくらいあるのかをまず確認してみましょう。
もし余剰資金で完済できるのなら、賃貸に出す方法も選択肢に上がります。
完済できないまま賃貸に出す場合は、不動産投資ローンへの借り換えが必要となり、諸費用がかかるほか、適用される金利も住宅ローンより高くなります。
自己資金で完済できないなら、売却を選ぶ方が安心でしょう。
物件の状態・条件
物件の状態や条件が賃貸に出すことを決める基準になります。
一般的に賃貸に向いているのは、最寄り駅から近く、また築浅の単身者向けの物件です。部屋の数が多くないため、家賃を抑えられることから、入居者を募りやすいでしょう。また、もし退去してもすぐに入居希望者が現れる可能性が高いです。
逆に売却に向いているのはファミリー向けの広い物件です。賃貸の需要は単身者や2人世帯が多くを占めているため、あまりに広すぎると家賃も高くなり、候補から外れてしまいます。せっかく賃貸に出したとしても入居者が入らなければ意味がありませんので、売却を考えるほうがいいでしょう。
築年数が古いマンションも、賃貸に出すにあたってリフォームが必要になるケースが多いことから、そのまま売却した方が最終的に手元に残るお金は多くなります。
利回り
賃貸に出すかどうかは利回りを計算して判断する必要があります。実際の売り上げはどのくらいになるのかを示す表面利回りや、経費を考慮した場合の最終的な利回りである実質利回りを計算し、実質利回りが最低でも3%、できれば6%以上になるようなら賃貸に出すことを考えてみましょう。
逆に実質利回りが3%を下回るようなら、売却を選ぶ方が賢明です。
将来的に住む予定があるかどうか
マンションから離れたとして、将来的にまた住む予定があるかどうかも判断基準です。将来、また住む予定があるなら、賃貸に出して保有しておくほうがいいでしょう。
ただ、その場合は希望する時に住めるよう、借家契約を定期借家契約にしておくことを忘れないようにしてください。
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マンションを売却するか賃貸に出すかは悩ましいところですが、それぞれのメリットやデメリットをしっかりと理解したうえで最終的な判断を下すようにしましょう。
特に賃貸に出す場合は、空室リスクや家賃滞納リスクなどさまざまなリスクを考慮しなければなりません。また、家賃収入を得る以上、ある程度の利回りが期待できなければ売却したほうがいいでしょう。
もし売却するか賃貸に出すかを悩んでいるなら、査定額を見て判断する方法もあります。思った以上に高く売れるなら、売却を考えたほうがいいかもしれません。
査定を行う際には不動産会社に依頼しますが、その際には必ず複数の不動産会社に依頼をし、比較するようにしてください。中には相場からかけ離れた査定額を示してくるケースもあります。
査定額が提示されたら、その根拠もしっかりと聞くことが大切です。
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