土地を売却したときに確定申告は必要?必要書類や不動産売却の流れを解説

土地を売却したら、確定申告が必要であるという点について聞いたことがある人もいるかもしれません。ただし、すべてのケースで必要になるわけではないことに注意が必要です。

そこで今回の記事では、土地の売却に伴う確定申告について、必要なケースとそうでないケース、必要な書類や実際の流れなどの基礎知識を解説します。直近で土地を売却する予定がなくても、ゆくゆくはと考えているならぜひ参考にしてください。

目次

土地の売却で確定申告は必要?

一口に土地の売却といっても、常に確定申告が必要になるわけではありません。具体的に必要になるケースと不要なケースについて解説します。

必要なケース不要なケース
・利益が出た場合
・特別控除の適用を受ける場合
損失が発生した場合

確定申告が必要なケース

まず、確定申告が必要なケースは以下の2つです。

  • 利益が出た場合
  • 特別控除の適用を受ける場合

利益が出た場合

土地を取得して得られた利益のことを、譲渡所得と言います。そして、譲渡所得が出た場合は、所得税・住民税・復興特別所得税を払わなくてはいけません。なお、譲渡所得は以下の式で計算します。

■譲渡所得の計算方法

譲渡所得=譲渡収入金額-(土地の取得費+売却時にかかった諸経費)-特別控除

仮に、以下の条件で土地を売却した場合、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)はいくらかかるか計算してみましょう。

  • 譲渡収入金額:3,000万円
  • 土地の取得費:2,000万円
  • 売却した年の1月1日時点での所有期間:10年
  • 売却時にかかった諸経費:500万円
  • 特別控除については考慮対象外とする

この場合、譲渡所得は500万円となり、譲渡所得税は500万円×20.315%=101万5,750円→101万5,700円となります(100円未満は切り捨て)。

特別控除の適用を受ける場合

土地を売却する際は、条件次第で特別控除を受けることが可能です。特別控除とは、一定の条件に当てはまる形で土地を売却した場合、譲渡所得から一定額を差し引ける制度を言います。主要な特別控除の一例は以下のとおりですが、受けるためには確定申告をしなくてはいけません。

概要適用要件
3,000万円の特別控除マイホームを売った時は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる・自分が住んでいた家屋、もしくは家屋とともにその敷地、借地権を売ること(現時点で住んでいない場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売ること)
・売った年の前年および前々年にこの特例を含む一定の特例を使っていないこと
・売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例マイホームを売却し、新たに購入したことに伴って損失が生じた場合、一定の条件を満たせば、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができる
※損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することが可能
・自分が住んでいる、もしくは住んでいたマイホームの譲渡である
・譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産かつ日本国内に存在している
・譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得する  
マイホームを売ったときの軽減税率の特例マイホームを売却し、一定の条件に当てはまる場合は、長期譲渡税額の税率を通常より低くできる・日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売る
・売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えている
・売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていない

なお、マイホームを売った時の軽減税率の特例は、家屋の売買とセットになることに注意してください。また、ここで紹介した特例や特例の適用条件はごく一部であるため、自分が利用できる特例の有無や、それによりどれだけ節税できるかは、税務署や税理士に確認していただくのをおすすめいたします。

確定申告が不要なケース

土地の売却により損失が出た場合は、必ずしも確定申告をする必要はありません。しかし、前述した「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を使いたい場合、確定申告が必須となります。節税になるため、結果として手元から出ていくお金を節約できるので、忘れずに行いましょう。

土地売却の確定申告に必要な書類一覧

土地売買の確定申告に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類取得方法
確定申告書税務署の窓口もしくは国税庁のWebサイトからダウンロード
売買契約書のコピー自分でコピーを取っておく
譲渡所得の内訳書税務署の窓口もしくは国税庁のWebサイトからダウンロードする
登記事項証明書自分で用意
※万が一紛失した場合は不動産仲介業者に相談
取得費や譲渡費用が分かる領収書のコピーなど自分で用意
※万が一紛失した場合は不動産仲介業者に相談

確定申告書

画定委申告を行う際は、確定申告書に必要事項を記入し、税務署に郵送、持参、もしくはe-Tax経由での送信により提出します。なお、土地の売買に伴って確定申告を行う場合、第一表と第三表が必要です。

実際は、後述する譲渡所得の内訳書とともに、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。画面の指示に従って必要事項を入力していくだけで書類が完成するので、ぜひ活用しましょう。

売買契約書のコピー

土地の購入時、売却時の売買契約書のコピーは、確定申告の際に土地の取得額、売却額を証明するために必要になります。手元にあればそれをコピーすれば構いません。しかし、ない場合は次のいずれかの方法で対応することも視野に入れ、不動産仲介会社に相談してみましょう。

  • 保管している売買契約書のコピーをもらう
  • 売主、買主に協力してもらえないか相談する
  • 領収書や通帳の取引履歴など、他の資料で購入代金を証明する

譲渡所得の内訳書

譲渡所得の内訳書とは、土地の売却に伴う確定申告にあたって必要な書類の1つで、売却益から経費を差し引いた課税価格をチェックするために使います。税務署の窓口や国税庁のWebサイトから入手可能です。なお、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、確定申告書を作成する際に同時に作成できるので、活用すると便利でしょう。

登記事項証明書

登記事項証明書とは、法務局に登記されている内容を証明するための書類です。不動産の所有権およびそれに付随する権利を証明する役割を果たします。所有権が正式に自分以外の第三者に移っていることを証明するために必要です。

登記事項証明書を入手するためには、以下の4つのいずれかの方法で進めましょう。

  • 管轄法務局(土地の所在地を管轄する法務局)の窓口
  • 郵送
  • 最寄りの法務局の窓口(交換サービスを利用)
  • オンラインで請求

取得費や譲渡費用が分かる領収書のコピーなど

取得費や譲渡費用が分かる領収書のコピーなども添付しましょう。既に触れたように、譲渡所得を計算するにあたっては、取得費や譲渡費用が正確にわかるに越したことはないためです。取得費がわからない場合は売った金額の5%相当額を取得費として計算できますが、税金の計算との関連では不利になりかねません。領収書のコピーがない場合は、不動産仲介業者に相談してみましょう。

特例を適用した場合は別途追加書類が必要

土地の売却にあたって特例を適用した場合、先に紹介した書類以外にも、追加で書類が必要になるため忘れずに用意しましょう。たとえば、マイホーム(居住用財産)を売却した場合の3,000万円控除の特例を使う場合で、譲渡契約締結日の前日において、住民票に記載されていた住所と売却した居住用財産の所在地とが異なる場合は、戸籍の附票の写しが必要です。具体的にどのような書類が必要かは、国税庁の「申告書添付書類チェックシート」が便利なので、ぜひ活用してください。

土地売却の確定申告の流れ

土地の売却にあたって確定申告をする際の流れは以下のとおりです。ここでは、それぞれの流れについて詳しく解説します。

確定申告の流れ
  1. 確定申告に必要な書類を準備する
  2. 譲渡所得の内訳書を記入する
  3. 確定申告書を記入する
  4. 確定申告書を税務署に提出する
  5. 納税もしくは還付を受ける

1.確定申告に必要な書類を準備する

まず、確定申告に必要な書類を準備しましょう。所得税の確定申告は土地を売却した年の翌年2月16日から3月15日(当日が土日祝日の場合は休み明けの平日まで)に行わないといけません。現在の自宅から遠い場所にある土地を売ったため登記事項証明書を郵送で取り寄せるなど、書類の準備に手間がかかることもあるため、早い段階で用意しましょう。

2.譲渡所得の内訳書を記入する

次に、譲渡所得の内訳書を記入します。実際は国税庁の「確定申告書作成コーナー」を使えば、確定申告書と一緒に作成できますが、どのような仕組みで計算を行うのかを理解しておきましょう。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算方法ですが、まず譲渡所得を計算し、そのうえで譲渡所得税を求めるという形で進めていきます。

■譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算式は以下のとおりです。

譲渡所得=譲渡収入金額-(土地の取得費+売却時にかかった諸経費)-特別控除

■譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、上記の式で求めた譲渡所得に税率をかけて計算します。

譲渡所得税=課税譲渡所得×税率

また、税率ですが「譲渡した年の1月1日時点での所有年数」によって異なる点に注意が必要です。「譲渡した年の1月1日時点での所有年数」が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得として計算します。

短期譲渡所得(5年以下)長期譲渡所得(5年超)
所得税30%15%
住民税9%5%
復興特別所得税0.63%0.315%
合計39.63%20.315%

3.確定申告書を記入する

譲渡所得の内訳書を記入したら、確定申告書を作成しましょう。なお、実際は国税庁の「確定申告書作成コーナー」を使えば、確定申告書と譲渡所得内訳書が同時に作成できます。画面の指示に従って必要事項を入力していけば問題ないので、ぜひ活用しましょう。

4.確定申告書を税務署に提出する

確定申告書が作成できたら、次のいずれかの方法で提出します。

  • 税務署の窓口や特設会場への持参
  • 郵送
  • e-Tax(オンライン)

なお、確定申告の期限が近づくと、窓口や特設会場は非常に混みあいます。できるだけ余裕を持って進めるとともに、郵送やe-Taxなど会場に足を運ばずに済む方法も検討しましょう。

5.納税もしくは還付を受ける

確定申告の結果、納税の必要があれば納めます。なお、納税の期限も確定申告の期限と同じ3月15日(当日が土日祝日の場合は休み明けの平日)となるため注意して下さい。

一方、税金を納め過ぎていた場合、還付が受けられます。通常、確定申告から1ヶ月~1ヶ月半程度で指定された銀行口座に振り込まれますが、2ヶ月を過ぎても還付がない場合は問い合わせてみましょう。

土地の売却で確定申告しないとどうなる?

土地の売却で確定申告をしなかった場合の扱いは、利益=譲渡所得が出たか否かで異なります。まず、譲渡所得が出た場合、会社員などの給与所得者かつ譲渡所得の額が20万円以下など一定の場合を除き、確定申告をしなければいけません。忘れていた場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが科せられます。期限内に確定申告を済ますのが前提ですが、万が一忘れてしまった場合は、すぐに税務署に問い合わせて手続きを済ませましょう。

なお、会社員などの給与所得者かつ譲渡所得の額が20万円以下だったとしても、住民税の申告は必要になります。

一方、土地の売却で損失が出た場合は、確定申告をしなくても問題はありません。法律上義務付けられていないためですが、特定控除を受ける場合は確定申告が必要になるため、忘れずに済ませましょう。

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土地を売却し、利益が出たら確定申告をして税金を納めなくてはいけません。また、利益が出ていなくても、一定の条件に当てはまるなら確定申告する必要が出てきます。

そもそも、土地を売却して利益を出すには、合理的な査定額に基づき、売却可能性がある価格を設定しなくてはいけません。そのためには、信頼できる不動産仲介業者を見つけることが不可欠です。

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