土地売却にかかる税金はいくら?税額の計算方法と節税方法を紹介

土地を売却する際は、さまざまな税金が発生します。万が一、税金を払い忘れてしまうとトラブルになりかねないため注意が必要です。実際は、不動産仲介業者の担当者から案内があるはずですが、事前にどのような税金がかかるのかを知っておくと慌てずに準備ができます。

今回の記事では、土地の売却により発生する税金の種類について、節税方法とともに解説します。土地を売る予定がある、検討中ならぜひお役立てください。

目次

土地の売却で発生する税金の種類

土地の売却により発生する税金の種類は以下のとおりです。

税金の種類概要納付期限
印紙税土地の売買契約書など、法律で定められた一定の文書(課税文書)に対しかかる税金売買契約書交付時
登録免許税土地の所有権移転登記に当たって国に納める手数料所有権移転登記時
譲渡所得税土地の売却により利益が生じた場合、その利益に対しかかる所得税(住民税、復興特別所得税も含む)土地売却の翌年の3月15日(確定申告の期限)

印紙税

印紙税とは、土地の売買契約書など、法律で定められた一定の文書(課税文書)に対しかかる税金のことです。実際は、対象となる文書に収入印紙を貼ったうえで消印することで納めます。消印は印鑑ではなく、担当者のサインでも構いませんが、二重線など「誰が書いたかわからない」ものは認められません。

印紙税は文書内の契約金額によって変わる仕組みとなっているため、自分が土地を売却した場合はいくらぐらいかかるのか確認しましょう。

契約金額印紙税額(本則税率)印紙税額(軽減税率)
※令和9(2026)年3月31日までに作成されるもの
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円200円
50万円を超え100万円以下1千円500円
100万円を超え500万円以下2千円1千円
500万円を超え1千万円以下1万円5千円
1千万円を超え5千万円以下2万円1万円
5千万円を超え1億円以下6万円3万円
1億円を超え5億円以下10万円6万円

参考:国税庁|No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
参考:国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

登録免許税

土地を売却した場合、所有権移転登記を行う必要がありますが、その際に手数料として国に納めるのが登録免許税です。土地の売買の場合、固定資産評価額に以下の税率をかけて計算します。

本則税率1,000分の20
軽減税率令和8(2026)年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15

譲渡所得税

土地の売却により利益が生じた場合、その利益に対して、所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。詳しくは後述しますが、その土地の保有年数によって適用される税率が異なる点に注意しましょう。

■譲渡所得の計算方法

譲渡所得=譲渡収入金額-(土地の取得費+売却時にかかった諸経費)-特別控除

譲渡所得は、上記の式で計算できます。このうち、土地の取得費に含まれる費用の具体例は以下のとおりです。

  • 土地の購入代金
  • 購入手数料
  • 購入時に納めた不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
  • 土地の取得に伴って生じた立退料、増税費用、測量費、訴訟費用
  • 建物があった土地を購入した際の建物の取り壊し費用
  • 土地を購入するために組んだローンのうち、土地を利用し始める前までに生じた利子

なお、相続した土地だったなど、土地の取得費がわからない場合は、譲渡収入金額の5%として計算します。

■譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税=課税譲渡所得×税率

譲渡所得税は、上記の式で計算します。なお、前述したように、税率は土地など物件の所有年数により異なる点に注意が必要です。売却した年の1月1日現在での所有年数が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」として扱われます。

短期譲渡所得(5年以下)長期譲渡所得(5年超)
所得税30%15%
住民税9%5%
復興特別所得税0.63%0.315%
合計39.63%20.315%

なお、所得税・住民税・復興特別所得税は、土地を売却した翌年の2月16日から3月15日(当日が土日祝日の場合は休み明けの平日)の間に申告・納税しなくてはいけません。

土地を売却した際にかかる税金シミュレーション

土地を売却した際に、どれだけ税金がかかるのかをシミュレーションしてみましょう。ここでは、500万円、1,000万円、2,000万円で土地を売却した場合の税金シミュレーションを行います。

なお、便宜上ここでは売却価格=固定資産評価額として計算しますが、実際は一致するとは限らない点に注意してください。また、特別控除についてはいったん考慮していません。

500万円で土地を売却した場合

■条件

売却価格(譲渡収入額):500万円
売却時にかかった経費:70万円
所有期間:6年 取得費:300万円
抵当権:あり

まず、500万円で土地を売却した場合の税金シミュレーションは以下のとおりです。

  • 譲渡所得=500万円-(300万円+70万円)=130万円
  • 譲渡所得税=130万円×20.315%=264,095円→26万4,000円
  • 印紙税は契約金額が「100万円を超え500万円以下」であるため1,000円(軽減税率が適用される)
  • 登録免許税は固定資産評価額が500万円であるため、1,000分の15をかけて7万5,000円。ただし、抵当権抹消登記のために1,000円が別途必要になる。

以上をまとめると、納める税金は次のとおりになります。

■納める税金額

印紙税:1,000円
登録免許税:7万6,000円(土地の所有権移転登記にかかる部分および抵当権抹消登記のためにかかる費用の合計)
譲渡所得税:26万4,000円

1,000万円で土地を売却した場合

■条件

売却価格(譲渡収入額):1,000万円
売却時にかかった経費:100万円
所有期間:3年
取得費:700万円
抵当権:あり

1,000万円で土地を売却した場合の税金シミュレーションは以下のとおりです。

  • 譲渡所得=1,000万円-(700万円+100万円)=200万円
  • 譲渡所得税=200万円×39.63%=79万2,600円
  • 印紙税は契約金額が「500万円を超え1千万円以下」であるため5,000円(軽減税率が適用される)
  • 登録免許税は固定資産評価額が1,000万円であるため、1,000分の15をかけて15万円。ただし、抵当権抹消登記のために1,000円が別途必要になる。

■納める税金額

印紙税:5,000円
登録免許税:15万1,000円
譲渡所得税:79万2,600円

2,000万円で土地を売却した場合

■条件

売却価格(譲渡収入額):2,000万円
売却時にかかった経費:300万円
所有期間:6年
取得費:1,500万円
抵当権:あり

2,000万円で土地を売却した場合の税金シミュレーションは以下のとおりです。

  • 譲渡所得=2,000万円-(300万円+1,500万円)=200万円
  • 譲渡所得税=200万円×20.315%=406,300円
  • 印紙税は契約金額が「1千万円を超え5千万円以下」であるため1万円(軽減税率が適用される)
  • 登録免許税は固定資産評価額が2,000万円であるため、1,000分の15をかけて30万円。ただし、抵当権抹消登記のために1,000円が別途必要になる。

■納める税金額

印紙税:1万円
登録免許税:30万1,000円
譲渡所得税:40万6,300円

土地売却時にかかる税金の節税方法

土地の売却にあたってはさまざまな税金が発生しますが、このうち、譲渡所得税に関しては節税することが可能です。節税することで手元から出ていくお金を減らせるため、可能な範囲で工夫しましょう。具体的な節税方法として、以下の3つについて解説します。

  • 所有期間が5年を超えるまで待つ
  • 特例控除を適用する
  • 相続した土地は3年以内に売却する

所有期間が5年を超えるまで待つ

土地を売却する際は、その年の1月1日時現在での所有期間が5年を超えるまで待ちましょう。所有期間が5年を超えれば、売却益が長期譲渡所得として扱われるため、税率も大幅に下がるからです。

特別控除を適用する

土地を売却する際は、特別控除が使えないかも調べておきましょう。特別控除とは、土地の売却が一定の条件を満たす場合に、譲渡所得から差し引ける項目のことです。以下の特別控除が認められているため、利用できるものがないか、税務署や税理士に確認してみましょう。

  • 公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
  • マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
  • 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
  • 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
  • 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
  • 低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例

参考:国税庁|No.3223 譲渡所得の特別控除の種類

相続した土地は3年以内に売却する

相続した土地は3年以内に売却しましょう。相続財産を譲渡した場合の取得費の特例といって、相続により取得した遺産を3年以内に譲渡すれば、相続税から一定金額を譲渡資産の取得費に加算できます。

なお、取得費に加算できる相続税額の計算式は以下のとおりです。

厳密には、この特例は「その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却している」場合に利用できます。最長で相続の開始から3年10ヶ月以内であれば利用できますが、なるべく早いに越したことはないため、税務署や税理士に確認して手続きをしましょう。

ただし、被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例とは併用できない点に注意が必要です。そのため、どちらを使ったほうが節税になるかも確認しながら進めるのをおすすめいたします。

土地売却した際の注意点

土地を売却した場合、利益=譲渡所得が発生した場合は、確定申告をしなくてはいけません。ただし、会社員などの給与所得者の場合、譲渡所得(土地の売却により得た利益)が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要になります。それでも、住民税の申告は行わないといけないため、住まいのある市町村役場に問い合わせましょう。

なお、売却によって損失が出た場合は確定申告をする必要はありませんが、特別控除の特例を使う場合は確定申告が必要になります。また、譲渡所得があったなど、本来確定申告が必要な場合に失念していると、無申告として扱われるため、延滞税や無申告加算税などのペナルティが科せられるので注意して下さい。

ただし、税務署からの指摘がある前に自主的に期限後申告をした場合はペナルティが軽くなるので、気づいた時点でなるべく早く税務署に問い合わせましょう。

参考:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

関連記事:土地を売却したときに確定申告は必要?必要書類や不動産売却の流れを解説

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