家を売却しようと考えている方、適切な売却時期に悩んでいる方に向けて、この記事では家を売るベストなタイミングについて詳しく解説します。
売却時期によって価格が大きく変動する可能性がある不動産。どのようなタイミングで売却すれば良いのか、また避けるべき時期はいつなのかを理解することで、より良い条件での売却が可能になるでしょう。この記事を読むことで、あなたの家を高く売るための適切なタイミングを見極める力が身につくはずです。
家を売るタイミングを見極める4つの基準
家を売るタイミングを見極めるには、主に以下4つの基準があります。これらの基準を理解し、総合的に判断することで、最適な売却時期を決定することができるでしょう。
- 築年数
- 不動産市況
- 所有期間
- 住宅ローンの金利
これらの要素について、それぞれ詳しく見ていきましょう。各基準を理解することで、あなたの家にとって最適な売却タイミングが見えてくるはずです。
築年数
築年数は、家を売るタイミングを見極める上で重要な基準です。一般的に、築年数が浅いほど高値で売却できる可能性が高くなります。新しい家ほど、構造や設備が最新の状態に近く、買主にとって魅力的に映るためです。
例えば、築5年以内の家と築10年以内の家では、平均売却価格に大きな差が出ることがあります。東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」によると、築5年以内の中古マンションの平均価格は約7,000万円であるのに対し、築6~10年では約6,600万円と、約400万円の差が生じています。
高く売れやすい年数の目安としては、マンションの場合は築15年以内、戸建ての場合は築20年以内が挙げられます。
ただし、築年数だけで判断するのではなく、他の要素も併せて考慮することが重要です。正確な査定を受けるには、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。イエカカクの一括見積もりサービスを利用すれば、手間をかけずに複数の査定額を比較することができます。
不動産市況
不動産市況とは、不動産市場全体の動向や取引状況を指します。これは家を売るタイミングを見極める上で重要な基準となります。市場全体の動きが個々の物件の価値に大きな影響を与えるからです。好況時には物件価格が上昇し、不況時には下落する傾向があります。
不動産市況を把握するには、主に「季節」と「相場」の2つの要素をチェックする必要があります。季節については、一般的に2〜3月と9〜10月が不動産取引の繁忙期とされています。これは、新学期や企業の人事異動のタイミングと重なるためです。この時期に向けて1〜2ヶ月前から売り出すことで、より多くの潜在的な買主にアプローチできる可能性が高まります。
相場については、国土交通省が公表している不動産価格指数や、各種不動産情報サイトの市況レポートなどを参考にすることができます。これらの情報を定期的にチェックすることで、市場全体の動向を把握することができるでしょう。
自身で不動産市況を調べる方法としては、以下のようなものがあります。
- レインズ(不動産流通標準情報システム)の市場動向レポートを確認する
- 不動産情報サイトの相場情報を閲覧する
- 地元の不動産会社に直接相談する
- 国土交通省の地価公示や都道府県地価調査を確認する
これらの方法を組み合わせることで、より正確な市況判断が可能になります。ただし、市況は地域によって大きく異なる場合もあるため、できるだけ自分の物件に近い地域の情報を集めることが重要です。
所有期間
所有期間は、家を売るタイミングを見極める上で重要な基準となります。これは所有期間によって譲渡所得税の計算方法が異なるためです。譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益に対してかかる税金のこと。譲渡所得税と所有期間の関係は以下のようになっています。
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) | |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 9% | 5% |
復興特別所得税 | 0.63% | 0.315% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
このように、5年を境に税率が大きく変わるため、可能であれば、売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える状態になってから売却することがおすすめです。
また、以降で解説する「3,000万円特別控除の特例」という制度もあります。これは、居住用財産を売却した際に、最大3,000万円まで譲渡所得から控除できる制度です。ただし、空き家の場合は住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
これらの税制を考慮すると、基本的には所有期間が長いほど税負担が軽くなる傾向にあります。ただし、具体的な税額については個々の状況によって異なるため、詳しくは税理士や不動産の専門家に相談することをおすすめします。
住宅ローンの金利
出典:住宅金融普及協会
住宅ローンの金利も、家を売るタイミングを見極める基準の1つです。これは、買主の購入意欲に大きな影響を与えるためです。
金利が低い時期は、住宅ローンを組みやすく、購入意欲が高まる傾向にあります。逆に金利が高い時期は、ローンの負担が大きくなるため、購入を控える人が増える可能性があります。
住宅ローン金利の過去と現在の状況を見てみると、1990年代初頭には8%を超える高金利の時期がありましたが、その後は長期的に低下傾向にあります。2024年3月現在、変動金利型の住宅ローンは2.5%程度、固定金利型(固定10年)でも4%程度(店頭金利)と、歴史的に見ても低い水準が続いています。
このような状況を踏まえると、現在は比較的売り時だと言えるでしょう。低金利環境が続いているため、購入者にとっては住宅ローンを組みやすい状況です。ただし、今後の金利動向については不確実性があるため、売却を考えている方は、できるだけ早めに行動に移すことをおすすめします。
一方で、金利が上昇傾向に転じた場合は、売却のタイミングを慎重に見極める必要があります。金利上昇は購入意欲の低下につながる可能性があるためです。
最終的には、金利動向だけでなく、自身の状況や他の要因も総合的に判断して、最適な売却タイミングを決定することが重要です。
家を売るべきタイミング5選
家を売却する際、タイミングは重要です。適切なタイミングで売却することで、より高値での売却や、スムーズな取引が期待できます。ここでは、家を売るべき5つの代表的なタイミングについて解説します。
- 築20年以内の場合
- 所有期間が5年以上の場合
- 空家は3年以内に売る
- 相続後は3年10ヶ月以内に売る
- 3月または9月
これらのタイミングは、それぞれ異なる理由で売却に適していると考えられています。以下、各タイミングについて詳しく見ていきましょう。
築20年以内の場合
築20年以内の家は、売却のタイミングとして適していると考えられます。その主な理由は、建物の価値がまだ十分に保たれているためです。
法的耐用年数の観点から見ると、木造住宅の場合は22年、鉄筋コンクリート造の集合住宅の場合は47年とされています。築20年以内であれば、これらの耐用年数の範囲内にあり、建物としての価値が認められやすい状態だと言えます。
築20年を超えると、新築や築浅物件と比べて価格の低下が顕著です。具体的には、築20年を超えると新築時の価格の60〜70%程度まで下がることがあります。例えば、新築時に4,000万円だった物件が、築20年を超えると2,400〜2,800万円程度まで価値が下がる可能性があるのです。
ただし、適切なメンテナンスや耐震補強などの対策を行っていれば、築年数だけでなく建物の状態も評価の対象となります。そのため、築年数が20年を超えていても、十分な価値を維持できている場合もあります。
売却を検討する際は、築年数だけでなく、建物の状態や立地条件なども含めて総合的に判断することが重要です。専門家による適切な査定を受けることで、より正確な価値判断ができるでしょう。
所有期間が5年超の場合
所有期間が5年超の場合も、家を売るべきタイミングとして適していると言えます。その主な理由は、税金面でのメリットにあります。
改めて譲渡所得税について説明すると、これは不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対してかかる税金のことです。譲渡所得税は、所有期間によって税率が異なります。
- 短期譲渡所得税(所有期間5年以下):39.63%
- 長期譲渡所得税(所有期間5年超):20.315%
このように、所有期間が5年を超えると税率が大幅に下がるため、可能であれば5年超所有してから売却することがおすすめです。
さらに、所有期間が10年を超えた場合、さらに有利な税制優遇を受けられる可能性があります。具体的には、「10年超所有軽減税率の特例」を併用することで、支払う税金をさらに抑えることができます。
3,000万円の特別控除とは
3,000万円の特別控除は、居住用財産を売却した際に適用できる特例です。この特例を利用すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除することができます。
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得=譲渡価格[売却価格など]-(取得費[購入価格など]+譲渡費用)
たとえば、3,000万円で購入した家を4,000万円で売却し、譲渡費用が200万円かかったとします。この場合、譲渡所得は以下のように計算されます。
4,000万円 – (3,000万円 + 200万円) = 800万円
通常であれば、この800万円に対して税金がかかりますが、3,000万円の特別控除を適用すると、課税対象となる譲渡所得がゼロになります。つまり、この例では譲渡所得税を支払う必要がなくなるのです。
ただし、この特例を利用するには一定の条件を満たす必要があります。主な条件には、売却する家に実際に住んでいたことなどです。
参考:国税庁| No.3302 マイホームを売ったときの特例
10年超所有軽減税率の特例とは
10年超所有軽減税率の特例は、所有期間が10年を超える居住用財産を売却した際に適用できる特例です。この特例を利用すると、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、通常よりも低い税率が適用されます。以下の表は、10年超所有軽減税率の特例による税率を示しています。
譲渡所得が6,000万円までの部分 | 譲渡所得が6,000万円を超える部分 | |
---|---|---|
所得税+復興特別所得税 | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 20.315% |
10年以下の場合と比べると、譲渡所得が6,000万円までの部分で約6%の税率軽減が受けられます。具体的な金額で見てみると、例えば譲渡所得が5,000万円の場合、10年以下の所有では約1,015万円の税金がかかりますが、10年超の所有では約710万円となり、約305万円の節税効果があります。
参考:国税庁|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
空家は3年以内に売る
空家になってから3年以内は、家を売るべきタイミングと言えます。その主な理由は、「3,000万円の特別控除」を受けられる期限が関係しています。
空き家の場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。この期限を過ぎると、3,000万円の特別控除が受けられなくなってしまうのです。
また、空き家の状態が長く続くと、建物の劣化が進んだり、防犯上の問題が生じたりする可能性があります。これらの問題は、物件の価値を下げる要因となりかねません。そのため、空き家になってからはできるだけ早く売却することが望ましいと言えます。
相続後は3年10ヶ月以内に売る
相続後、3年10ヶ月以内は家を売るべきタイミングとして適しています。その主な理由は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を利用できるからです。
この特例は、相続した不動産を売却する際に、売却額から控除できる取得費を増やすことができるものです。具体的には、実際に支払った相続税のうち、相続税評価額や相続した遺産総額に応じた金額を取得費に加算することができます。
この特例を利用することで、譲渡所得の金額を減らすことができ、結果として支払う税金を抑えることができます。ただし、この特例を利用するためには、相続開始があったことを知った日の翌日から3年10ヶ月以内に売却する必要があります。
3月または9月
3月と9月は、家を売るべきタイミングといえるのは、不動産市場の需要と関係しています。
3月が家を売るべきタイミングである主な理由は、日本の年度替わりと関係しています。多くの企業が4月に新入社員を迎え入れたり、人事異動を行ったりするため、3月は引っ越しの需要が高まる時期です。また、学生の入学や進学のタイミングとも重なるため、家族で引っ越しを考える人も多くなります。このような理由から、3月は不動産の売買が活発になり、売却しやすい環境が整います。
9月が家を売るべきタイミングとして適している理由は、夏休みが終わり、秋の引っ越しシーズンが始まるためです。また、企業によっては10月に人事異動を行うところもあるため、9月は不動産需要が高まる時期の一つとなっています。
これらの時期に合わせて売り出すことで、より多くの潜在的な買主にアプローチできる可能性が高まります。ただし、地域や物件の特性によっては、これらの時期以外でも需要が高まる場合があるので、地域の不動産事情にも注意を払う必要があります。
家を売るべきではないタイミング
家を売却する際には、避けるべきタイミングもあります。以下の3つのケースは、一般的に家を売るのに適していないとされています。
- 築5年以内
- 所有期間が5年以下
- 年末年始・夏休みシーズン
築5年以内の家を売却するのは、通常おすすめできません。その主な理由は、住宅ローンの返済状況にあります。多くの場合、住宅ローンの返済初期は利息の支払いが中心となり、元本の返済があまり進んでいない状態です。そのため、売却価格がローン残債を下回る可能性が高く、売却しても手元に残るお金が少なかったり、逆にローンが残ってしまったりする可能性があります。
また、所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得税が適用されるため、税負担が大きくなります。短期譲渡所得税の税率は39.63%で、5年超の長期譲渡所得税(20.315%)に比べて約2倍の税率となります。そのため、可能であれば5年超所有してから売却することが望ましいです。
さらに、年末年始(12月下旬〜1月上旬)や夏休みシーズン(8月中旬)は、一般的に不動産取引が減少する時期です。多くの人が休暇中であったり、引っ越しの検討を後回しにしたりするため、買主が見つかりにくくなる可能性があります。また、不動産会社の営業日数も減少するため、スムーズな取引が難しくなる場合もあります。
これらのタイミングを避け、適切な時期に売却することで、より良い条件での取引が期待できます。ただし、個々の状況や地域の特性によっては例外もあるため、専門家に相談しながら最適な売却タイミングを見極めることが重要です。
家を売る際の注意点
家を売却する際には、いくつかの重要な注意点があります。家の売却は、人生の中でも大きな金銭的取引の一つであり、複雑な法律も絡んできます。そのため、慎重に進める必要があります。
特に注意すべきは、「早く売らなきゃ」という焦りの心理です。この心理に駆られて、知らずにやってはいけないことをしてしまうと、家の価値が下がったり、売却に予想以上の時間がかかったりする可能性があります。例えば、以下のようなことは避けるべきです。
- 適切な査定を受けずに安易に価格を決めること
- 必要な修繕や清掃を怠ること
- 売却に関する重要な書類を紛失したり、不備のある状態で提出すること
- 近隣トラブルや権利関係の問題を隠したまま売却を進めること
- 不動産会社を十分に比較検討せずに依頼すること
これらの行動は、結果的に売却価格の低下や取引の長期化につながる可能性があります。家を売る際の注意点についての詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。売却を検討されている方は、ぜひご覧ください。
関連記事:家の売却でやってはいけないこと19選|スムーズに売るコツと注意点も
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この記事では、家を売るベストなタイミングについて、築年数、不動産市況、所有期間、住宅ローンの金利という4つの基準から詳しく解説しました。また、具体的に家を売るべき5つのタイミングと、避けるべき3つのタイミングについても説明しました。
家の売却は複雑で重要な取引です。適切なタイミングで、適切な方法で売却することが、高値での売却や円滑な取引につながります。しかし、個々の状況や地域の特性によって最適な売却タイミングは異なる可能性があります。
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