家を売りたいと考えているものの、具体的にどのようなステップで進めればいいのかわからず、不安に感じている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、初めての方でも安心して売却プロセスを進められるよう、家の売却方法や手順、適切なタイミング、注意点などを詳しく解説します。
不安や疑問を解消し、スムーズな家の売却を実現したい方は、ぜひ最後までお読みください。
家を売る方法は3パターン
家を売る際には、以下3つの方法があります。
- 不動産会社に仲介してもらう
- 不動産会社に買取してもらう
- 個人間で売買する
ここからは、それぞれの方法の詳細やメリット・デメリット、どのような方に適しているかを解説します。
不動産会社に仲介してもらう
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立ち、物件の紹介や交渉、契約手続きなどをサポートしてくれる売却方法です。
不動産取引は高額かつ専門的なものであるため、不動産のプロである不動産会社に依頼するのが一般的です。また、不動産会社に依頼することで、広告・宣伝活動も行ってくれるため、より多くの購入検討者にアプローチでき、スムーズかつ好条件での売却が期待できます。
不動産会社に仲介してもらうメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・広告や集客を代行してくれる ・適正価格での売却が期待できる ・法的手続きや書類作成のサポートが受けられる | ・仲介手数料がかかる ・売却までに時間がかかる場合がある ・不動産会社によって集客力などに差がある |
仲介手数料とは、不動産会社に対して支払う報酬のことです。報酬の上限は、売買価格によって決まっています。
売買価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格の5%+消費税 |
200万円超え、400万円以下 | 200万円までの部分:売買価額の5.5% 200万円を超える部分:売買価額の4.4% |
400万円超え | 200万円までの部分:売買価額の5.5% 200万円超え、400万円までの部分:売買価額の4.4% 400万円を超える部分:売買価額の3.3% |
売買価格が400万円を超える場合は、速算式として「売買価格×3.3%+6万6千円」で求められます。
仲介での売却が適しているのは、期間に余裕があり、より好条件で売却したいときです。
公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、2023年の取引で売却にかかった期間は、中古マンションで平均80.1日、中古戸建てで平均83.3日であり、販売開始から成約まで約3ヶ月かかっています。
販売の準備期間や引き渡しまでの期間を含めると、半年程度はかかると考えておきましょう。
不動産会社に買取してもらう
買取とは、不動産会社が買主となる取引形態であり、メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・迅速な売却が可能 ・物件の状態に関わらず売却できる ・仲介手数料が不要 ・周囲に知られずに売却できる | ・市場価格よりも低い価格での売却が一般的 |
不動産会社の買取は、仲介と違い買主を探す手間がかからないため、短期間で売却できるのが特徴です。仲介では、売却までに約3ヶ月、引き渡し(現金化)までさらに1〜2ヶ月かかるのが一般的ですが、買取では1ヶ月以内に現金化できるケースも珍しくありません。
なお、不動産会社は購入後にリフォームをし、再販売することを目的に買取をします。そのため、築年数や室内状況などに関わらず売却可能です。
また、仲介ではなく直接買取であるため、仲介手数料はかかりませんし、広告なども行わないため、周囲に知られずに売却できます。
ただし、仲介で売却する場合よりも、売却価格は低くなると考えましょう。不動産会社は事業として、あくまで利益を得ることを目的として行っているためです。
ここまでの内容を踏まえると、不動産会社による買取は、急ぎで資金が必要な方や、物件の状態が悪く仲介での売却が難しい場合などに適しています。
個人間で売買する
個人売買とは、売主と買主が直接取引を行う方法です。
不動産取引は、不動産会社を通して行うものというイメージがありますが、個人間でも取引できます。ただし、売主が直接買主を見つけ、価格交渉から契約まですべての手続きを自ら行うため、難易度は高いと考えましょう。メリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・仲介手数料が不要 ・直接交渉が可能 | ・買主を見つけるのが難しい ・売主の負担が増える ・取引のリスクがある ・住宅ローンを利用するのが難しい |
個人売買では、不動産会社を介さないため、仲介手数料はかかりませんし、直接交渉が可能です。
ただし、書類の準備や手続きなど、すべて売主が行う必要があり、負担がかかります。また、高額かつ専門的な取引であるため、プロである不動産会社を介さないとリスクが高くなると考えましょう。
なお、買主が住宅ローンを利用する場合、重要事項説明書という書類が必要です。この書類を作成するには宅地建物取引士の資格が必要になるため、資格を持たない個人間の取引では、住宅ローンを利用するのは難しくなります。
特定の買主候補が決まっている場合や、不動産の知見が豊富な場合は個人売買も可能ですが、これらに該当しない方は不動産会社への相談がおすすめです。
家を売るのに適したタイミング
家を売却するタイミングは、物件の価値や市場の動向に大きく影響します。
適切なタイミングを見極めることで、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。ここでは、築年数と季節・時期の観点から、家を売るのに適したタイミングについて考えていきましょう。
築年数による考え方
結論として、築年数が浅い物件ほど、高値で売却できる可能性が高くなります。
築年数が浅い物件は、一般的に設備や内装が新しく、メンテナンス費用も少ないため、買主にとって魅力的であるためです。
公益財団法人東日本不動産流通機構が公表する「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」では、中古マンションの場合、築0〜5年の物件の平均価格は約7,077万円であるのに対し、築41年以上の物件は約2,260万円と大きな差があります。
また、築0〜15年の物件は対新規登録成約率が30%を超えており、需要が高いことがわかります。
ただし、築年数が経過していると売れない訳ではありません。年々取引されている不動産の平均築年数は上昇傾向にあります。新築住宅が減少している日本において、この流れは加速すると考えられます。とはいえ、現状の取引の平均築年数は20年前後であるため、築20年を迎える前に売却したほうが、より好条件で取引できるでしょう。
参考:公益財団法人 東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)
季節や時期による考え方
不動産の売買は年間を通じて行われていますが、取引数が多い傾向にあるのは例年1〜3月と9〜10月です。
春からの新生活のために3〜4月の入居を目指す人が、少し前に動き出すためです。また、9〜10月は会社の半期であり、転勤などの動きも出てきます。
なお、この時期を目がけて売却を検討する場合は、1〜2ヶ月前から売却を開始しておくのがおすすめです。前述したとおり、販売開始から成約まで平均して約3ヶ月かかるため、早めに動き出しましょう。
家を売る時の手順
家を売る時の手順は、以下の通りです。
- 売却の事前準備をする
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を展開する
- 購入希望者と条件交渉する
- 買主と売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡しを完了する
- 売却後に確定申告する
これらの手順を丁寧に進めることで、より良い条件での売却が期待できます。家の売却は人生における大きな決断であるため、慎重、かつ効率的に進めていきましょう。
ここからはそれぞれの手順を詳しく解説します。
1.売却の事前準備をする
家を売る時の事前準備では、主に以下のことを行います。
- 住宅ローンの残高を確認する
- 建物や土地の名義人を確認する
- 隣地との境界線を確認する
- 売却にかかる費用を確認する
- 売却のスケジュールを立てる
- 必要書類を準備する
- 売却相場を調べる
それぞれについて見ていきましょう。
住宅ローンの残高を確認する
家を売る際は、住宅ローンの残債を完済しなければいけません。
通常、引き渡し時に買主から受領した売買代金で住宅ローンを完済するのが一般的ですが、売買代金が住宅ローンの残債を下回っているオーバーローンの場合、自己資金を入れて完済する必要があります。
売却後の資金計画などに影響する部分であるため、金融機関に連絡し、正確な住宅ローン残高を確認しましょう。また、年末に金融機関から送られてくる住宅ローンの残高証明書でも確認できます。
建物や土地の名義人を確認する
登記簿謄本を取得し、現在の所有者が誰なのかを確認しましょう。
原則として、家は所有者でなければ売却できません。複数の所有者がいる場合は、所有者全員の同意が必要です。相続などで取得した土地・建物で、ほかの所有者がいるケースもあるため、事前に確認しておく必要があります。
名義人の確認を怠ると、売却手続きが大幅に遅れる可能性があるため、早めの対応が望ましいです。
隣地との境界線を確認する
不動産を売却する際、隣地との境界を明確にする必要があります。
隣地との境界線が不明確だと、建物の建築やブロック塀の設置などで隣接地所有者とのトラブルになりかねません。また、トラブルになることを危惧して、買主が購入を避けることもあります。
境界線を確認するには、法務局で地積測量図や公図を取得しましょう。書類と現状で不一致がある場合は、隣地所有者と話し合い、必要に応じて測量を行います。
なお、隣地との境界線が不明確な場合、法務局で筆界特定制度を利用できます。これは、土地家屋調査士などの専門家が実地調査を行い、法務局の特定登記官が最終的に境界線を確定する制度です
境界線の確定には時間がかかることがあるため、売却を考え始めたら早めに着手することをおすすめします。明確な境界線があることで、買主にも安心感を与え、スムーズな売却につながります。
売却にかかる費用を確認する
正確な収支計画を立てるためにも、売却にかかる費用の確認は重要です。主な費用は以下の通りです。
費用項目 | 内容 | 目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社への報酬 | 売買価格×3.3%+66,000円 |
印紙税 | 契約書に貼付する収入印紙代 | 1万円~6万円(売却価格に応じて) |
抵当権抹消費用 | ローンの抵当権を抹消する費用 | 不動産1個につき1,000円 |
繰り上げ返済手数料 | ローンを一括返済する際の手数料 | 0~3.3万円程度(金融機関や返済方法により異なる) |
譲渡所得税 | 売却益にかかる税金 | ・20.315%(長期譲渡) ・39.63%(短期譲渡) |
測量費用 | 土地の境界確定のための費用 | 30~60万円程度(土地面積による) |
解体費用 | 建物を取り壊す際の費用 | 1坪あたり40,000円程度(木造の場合) |
各種証明書の取得費用 | 必要書類の発行手数料 | 1通数百円程度 |
これらの費用を事前に把握することで、売却後の手取り額の見積りができます。ただし、上記費用があくまでも目安です。予想外の出費を避けるためにも、専門家に相談して詳細な費用内訳を確認することをおすすめします。
売却のスケジュールを立てる
希望する売却完了時期を設定し、そこから逆算して各ステップの期限を決めましょう。
査定、物件の広告、内見対応、価格交渉、契約、決済などの各段階に十分な時間を割り当てることが重要です。
不動産は売却開始から成約までに約3ヶ月かかります。また、売却準備や引き渡しまで踏まえると半年ほどの時間がかかると考えましょう。
予期せぬ遅延にも対応できるよう、余裕を持たせたスケジュールを心がけるのが大切です。
必要書類を準備する
家を売る際は多くの書類が必要になります。
書類が不足していると契約や引き渡しができない恐れもあるため、早めの準備を心がけましょう。具体的に準備するべき書類は以下の通りです。
必要書類等 | 内容 | 取得方法 |
---|---|---|
身分証明書 | 運転免許証やマイナンバーカードなど | 自己所有 |
権利証(登記識別情報) | 所有権を証明する書類 | 自己所有 |
住民票 | 現住所を証明する書類 (購入時と住所が変わっていなければ不要) | 市区町村の窓口やオンラインで取得 |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税の金額を示す書類 | 市区町村から毎年送付されるもの |
印鑑証明書 | 実印の証明書 | 市区町村の窓口やオンラインで取得 |
公図 | 土地の位置関係を示す図面 | 法務局で取得 |
建物図面 | 建物の間取りや面積を示す図面 | 法務局で取得 |
登記簿謄本 | 不動産の権利関係を示す書類 | 法務局やオンラインで取得 |
固定資産評価証明書 | 固定資産税評価額を証明する書類 | 市区町村の窓口で取得 |
地積測量図 | 土地の形状や面積を示す図面 | 法務局で取得。ない場合は測量士に依頼 |
建築確認通知書 (台帳記載事項証明書でも可) | 建物が法令に適合していることを示す書類 | 自己所有 (市区町村の窓口で取得) |
検査済証 (台帳記載事項証明書でも可) | 建物が法令に適合していることを示す書類 | 自己所有 (市区町村の窓口で取得) |
耐震診断結果報告書 | 建物の耐震性を示す書類 | 自己所有(耐震診断を実施した場合) |
管理規約(マンションの場合) | マンションの管理ルールを示す書類 | 管理組合や管理会社から取得 |
重要事項調査報告書(マンションの場合) | 修繕積立金の残高などを示す書類 | 管理組合や管理会社から取得 |
総会の議事録(マンションの場合) | 管理組合での話し合いの内容を示す書類 | 管理組合や管理会社から取得 |
ローン残高証明書 | 住宅ローンの残高を示す書類 | 金融機関に依頼して取得 |
物件によっては必要ない場合や、追加で取得すべき書類があります。不動産会社が代理で取得してくれる場合もあるため、不動産会社とも相談しながら準備しましょう。
売却相場を調べる
適正な価格設定をするためにも、売却相場の調査は重要です。同じエリアの類似物件の価格を確認しましょう。具体的におすすめなのは、以下2つのサイトを活用することです。
レインズ・マーケット・インフォメーションは、公益財団法人東日本不動産流通機構が運営する公式サイトで、不動産流通市場の動向を月次で公開しています。中古マンションや中古戸建ての成約価格や取引動向を確認できるため、売却価格の設定や市場動向の理解に役立ちます。
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営する公式サイトです。全国の不動産取引や価格に関する様々な統計情報を提供しているほか、実際の取引価格を調べられます。
また、不動産ポータルサイトなどで実際に売りに出されている物件からも売却相場を確認することで、トレンドを把握できます。
ただし、不動産ポータルサイトで調べられるのは売り出し価格である点に注意しましょう。中古不動産の取引では、価格交渉が入ることも多いため、実際の成約価格とは異なることがあります。
2.不動産会社に査定を依頼する
事前準備を行った後は、不動産会社に査定を依頼しましょう。
なお、不動産会社の査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
【査定の種類】
種類 | 概要 | 期間の目安 |
---|---|---|
机上査定 | オンラインや電話で行う簡易査定。物件の基本情報をもとに算出。 | 即日〜数日 |
訪問査定 | 不動産会社の担当者が実際に物件を訪問して行う詳細な査定。 | 1週間 |
査定を依頼する際の一般的な流れは以下の通りです
- 机上査定を依頼して簡易的な査定額を確認する
- 訪問査定を依頼して訪問日を調整する
- 査定を受ける(立ち会う)
- 査定結果の説明を受ける
査定を依頼する際は、複数社に依頼するのがおすすめです。なぜなら、不動産会社によって査定結果が異なるためです。査定を依頼するのが1社だけの場合、その査定価格が適切であるかの判断ができません。より適切な売却価格を設定するためにも、複数社に依頼しましょう。
なお、複数の不動産会社に一度に査定を依頼する際は、一括査定サイトを活用するのがおすすめです。一括査定サイトを活用すると、率的に複数社から査定を受けられ、各社の特徴や提案内容を比較しやすくなります。
「イエカカク」では、厳選された優良な不動産会社の中から最大6社に一括で査定を依頼できます。47都道府県に対応しているため、家を売りたいと考えている方は、ぜひご活用ください。
3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社に仲介を依頼して売却を行う場合、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約とは、売主と不動産会社の間で取り交わされる契約であり、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
【媒介契約の種類】
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社との契約 | 可能 | 不可 | 不可 |
有効期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
自己発見取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
業務状況の報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
指定流通機構への登録 | 任意 | 7日以内に必須 | 5日以内に必須 |
どの契約を選ぶべきかは、売却の急ぎ具合や希望する販売方法によって異なります。一般媒介契約は自由度が高いですが、専任や専属専任契約のほうが不動産会社の積極的な対応が期待できます。
不明点がある場合は、不動産会社に詳しく説明を求めましょう。
4.売却活動を展開する
媒介契約を締結したら、いよいよ売却活動がスタートです。
売却活動には、主に以下の内容が含まれます。
- 売り出し価格を設定する
- 購入希望者を募集する
- 内覧の準備・対応をする
それぞれについて、見ていきましょう。
➀売り出し価格を設定する
売り出し価格は、以下の点を考慮して決定しましょう。
- 不動産会社の査定結果を参考にする
- 周辺の類似物件の価格を調査する
- 物件の特徴や改修履歴を考慮する
- 売却の緊急性を考慮する
- 値下げの余地を残す
適正価格で売り出すことで、早期売却に繋がります。ただし、高値成約の機会損失になる可能性もあるため、期間に余裕がある場合は相場より高めに売り出す方法もあります。市場動向に応じて柔軟に調整しましょう。
②購入希望者を募集する
購入希望者の募集は、多様なチャネルを活用して行います
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- 不動産会社の店頭広告
- チラシやダイレクトメールの配布
- SNSを活用した情報発信
- 物件へ「売却物件」の看板設置
不動産会社によってチャネルの種類や閲覧数が大きく異なるため、事前に精査したうえで依頼しましょう。
③内覧の準備・対応をする
内覧は購入検討者の決断を左右する重要な場面であるため、以下の点に注意して臨みましょう。
- 内覧前の清掃と整理整頓
- 小さな修繕の実施
- 適度な照明と換気
特にキッチンや浴室の水滴を拭き取っておくなど、水回りの印象を良くすることが重要です。匂いが気になる場合もあるため、換気をしておきましょう。あまり費用をかけずに修繕できる部分がある場合は、予め直しておくのがおすすめです。
また、以下は買主から質問されることが多いため、事前に回答を考えておきましょう。
- 物件の良い点・気になる点
- 周辺環境や生活情報
- 修繕履歴
不動産会社の担当者も含めて、事前に作戦会議をしておくのがおすすめです。
5.購入希望者と条件交渉する
購入希望者との条件交渉は、売却プロセスの中で重要な要素です。この交渉では、売却価格だけでなく、引き渡し時期や物件の状態、さらには家具や設備の扱いなど、様々な条件について話し合います。
条件交渉の進め方は以下の通りです。
- 購入希望者からの申し出を受ける:不動産会社を通じて購入希望者の条件が伝えられる
- 提示された条件を慎重に検討する:価格だけでなく、すべての条件を総合的に評価する
- カウンターオファーの準備:必要に応じて、条件の修正案を用意する
- 不動産会社を介して交渉を進める:不動産会社を通じてコミュニケーションを取る
- 合意に向けて柔軟に対応する:双方が納得できる条件を見出すために、柔軟な姿勢で臨む
最終的な判断は売主が行うものですが、専門家の意見を積極的に取り入れることで、より良い決断につながります。不動産会社のアドバイスを参考にしながら、自身の状況と希望を明確に伝え、納得のいく合意を目指しましょう。
6.買主と売買契約を結ぶ
条件交渉が成立したら、いよいよ買主との売買契約締結に進みます。売買契約の流れは以下の通りです。
- 売主と買主の顔合わせを行う
- 重要事項説明書の読み合わせを行う
- 売買契約書の読み合わせを行う
- 重要事項説明書・売買契約書に署名捺印する
- 手付金の授受を行う
不動産の売買契約書や重要事項説明書は専門用語が多く、不動産取引に不慣れなが方が一度で理解するのは困難です。そのため、契約前に草案を送ってもらい、事前に読み込んでおきましょう。不明点や疑問点があれば必ず解消してから契約を結ぶ必要があります。
7.決済・引き渡しを完了する
売買契約の締結後、取引の最終段階である決済・引き渡しに進みます。契約から決済・引き渡しまでの期間は、買主が住宅ローンを利用する場合、審査等の関係で1〜2ヶ月後になるのが一般的です。
決済・引き渡し完了までの流れは以下の通りです。
- 決済日より前に物件の引き渡し前確認の実施(売主引越し後)
- 決済日は買主が住宅ローンを利用する金融機関に集合
- 司法書士による売主・買主の本人確認
- 融資の実行・残代金の振込
- 着金確認
- 各種書類への署名捺印
- 鍵の引き渡し(引き渡し完了)
- 司法書士は登記申請へ
必要書類を忘れると引き渡しができず違約となる恐れがあるため、しっかりと準備しましょう。
8.売却後に確定申告する
家の売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、確定申告を行う義務があります。不動産の譲渡所得が他の所得と分離して課税される「分離課税」の対象となるためです。
確定申告の期間は、売却した翌年の2月16日から3月15日までです。年末に売却した方は、すぐに確定申告期間が来るため注意しましょう。
家の売却でやってはいけないこと
家を売却する際、売却準備中や売却活動中、売買契約や引き渡し後といったそれぞれの期間において、やってはいけないことがあります。
売却を成功させるためにも、それぞれの期間の「やってはいけないこと」を解説します。
売却準備中
売却準備中にやってはいけないことは、以下の通りです。
- 物件の欠陥を隠す
- 勝手に増改築や改修を行う
- 近隣トラブルを放置する
- 売却について家族に相談しない
- 売却理由を偽る
- 固定資産税や管理費の滞納を放置する
- 物件の基本情報を誤って伝える
- 重要書類を紛失する
これらの行為は、売却プロセスを複雑にし、トラブルの元となる可能性があります。特に物件の欠陥隠しは法的問題に発展する恐れがあります。正直に情報を開示しましょう。また、後々のトラブルを避けるためにも、家族の同意を得てから売却することが重要です。
売却活動中
売却活動中にやってはいけないことは、以下の通りです。
- 購入希望者に対して感情的になる
- 内覧の準備を怠る
- 売却価格にこだわりすぎる
- 不動産会社の助言を無視する
思い入れのある家を売る際、価格交渉が入ると、つい購入希望者に対して感情的になってしまう場合があります。そこで一切値引きはしないと交渉を突っぱねた結果、最終的に購入申し込みが入らず、売却期限直前で大幅な価格交渉を飲まなければならないといったケースも起こり得ます。
物件価格は相場に適した価格であるのか、交渉内容は検討の余地があるのかなど、不動産会社の意見を聞きながら判断しましょう。
売買契約や引き渡し後
売買契約や引き渡し後にやってはいけないことは、以下の通りです。
- 契約書を十分に確認せずに署名する
- 決済日までに必要書類を準備しない
- 引き渡し日を守らない
- 物件内に私物を残したままにする
- 近隣住民への挨拶を怠る
- 確定申告を忘れる
- 売却後の転居先の手配を遅らせる
- 不動産会社とのコミュニケーションを途絶える
契約書の内容を十分に理解せずに署名すると、後々トラブルの原因となります。また、引き渡しの際は、約束した日時を厳守し、物件を清潔な状態で引き渡すことが重要です。つい契約が完了すると気が緩んでしまいがちですが、ゴールは引き渡しであるため、しっかりと不動産会社と連携しながら準備を進めましょう。
また、売却後の確定申告も忘れずに行う必要があります。確定申告を怠ると追徴課税などのペナルティを受ける恐れがあるため注意しましょう。
【ケース別】家を売る時の注意点
家の売却は、それぞれの状況によって考慮すべき点が異なります。ここでは、代表的なケースごとに注意すべきポイントを解説します。自身の状況に合わせて適切な対策を講じましょう。
相続した家を売る場合
相続した家を売るケースとは、家族や親族が亡くなった後、その不動産を相続し、それを売却する場合を指します。売却理由としては、相続した家が遠方にあり管理できない、維持費の負担が大きい、現金化して相続税を支払う必要があるといったものが挙げられます。
相続した家を売る際の主な注意点は、以下の通りです。
- 相続登記の完了
- 共同相続人との合意形成
- 譲渡所得税の特例適用の確認
相続した不動産を売却するためには、まず相続登記を完了させる必要があります。正確に言うと売却活動自体は、遺産分割協議書があれば始められますが、相続登記が完了していないと所有権を移転できないため、取引が成立しません。まずは、相続登記を完了させて、売却できる状態を整えましょう。
また、複数の相続人がいる場合、売却するためにはすべての相続人の同意を得る必要があります。意見の相違や連絡が取れない相続人がいる場合、売却手続きが滞る可能性があるため、事前に十分な話し合いを行い、売却の是非、価格、売却益の分配方法などについて合意を形成しておくことが望ましいです。
なお、相続した家を売却する際、一定の条件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」が適用されます。譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるため、制度の要件などを事前に確認しておきましょう。
住み替えのために家を売る場合
住み替えのために家を売るケースとは、現在の住居を売却し、新たな住居に移転する場合を指します。売却理由としては、家族構成の変化、職場の移動、生活環境の改善、老後への備えなどが挙げられます。
現在の家を売却して得た資金を、新しい住居の購入資金に充てることが多いのが特徴です。
住み替えのために家を売る際の主な注意点は、以下の通りです。
- タイミングの調整
- 住宅ローンの借り換えや二重ローンの考慮
- 税金の特例措置の活用
現在の家の売却と新しい家の購入のタイミングの適切な調整が重要です。売却が先に完了すると一時的な仮住まいが必要になり、購入が先だと二重ローンのリスクが生じます。理想的としては、売却物件に引き渡し猶予の特約を設け、その期間内に新居の引き渡し・引っ越しを完了させることですが、綿密な計画と柔軟性が求められます。不動産会社と密に連携し、両方の取引のスケジュールを管理する必要があります。
また、現在の家にローンが残っている場合、新居の購入時に一時的に二つのローンを抱える「二重ローン」状態になる可能性があります。新旧の住宅ローンを一本化する住み替えローンといった選択肢もあるため、不動産会社と資金計画を考えましょう。
住み替えに伴う家の売却では、「居住用財産の買換え特例」を活用できる可能性があります。これは、一定の条件を満たす場合、売却による譲渡益の課税を繰り延べられる制度です。制度を活用するには要件や必要書類があるため、事前に確認しておきましょう。
ローン残債のある家を売る場合
ローン残債のある家を売るケースとは、住宅ローンの返済が完了していない状態で家を売却する場合を指します。売却理由としては、転勤や家族構成の変化による住み替え、経済的理由による売却などです。
ローン残債のある家を売る際の主な注意点は、以下の通りです。
- 売却価格とローン残高の関係
- 金融機関との事前相談、手数料の確認
ローンの残債がある状態だと所有権を移転できないため、売却時に受け取る売買代金で完済するのが一般的です。しかし、売買価格がローン残高を下回っていると、売買代金だけでローンを完済できず、自己資金が必要になります。事前にローン残高を把握し、適切な売却価格を設定しましょう。
また、ローン残債がある状態での売却は、必ず金融機関の承諾が必要です。抵当権抹消書類などを発行してもらう必要があるため、早めに融資を受けている金融機関に相談しましょう。
なお、住宅ローンの残債を一括返済する際には、手数料が発生するのが一般的です。手数料は金融機関によって異なり、返済額や返済方法によっても変動することがあります。資金計画を立てるためにも、事前にヒアリングをしておきましょう。
築年数の古い家を売る場合
築年数の古い家を売るケースとは、相続物件の処分や老朽化による住み替え、投資目的で購入した古い物件の売却などが該当します。
築年数の古い家を売る際の主な注意点は、以下の通りです。
- 売却条件(リフォームや修繕)の検討
- 建物の状態や性能の正確な開示
築年数の古い家は、設備の老朽化や故障などによって購入のハードルが高くなる傾向にあります。ただし、安易にリフォームするのはおすすめできません。なぜなら、リフォームが必ずしも売却価格に反映されるとは限らないためです。
比較的低コストで印象を大きく改善できる修繕に焦点を当てることで、売却の促進につながる可能性もあるため、不動産会社と相談しながら判断しましょう。
また、築年数の古い家は、建物の状態や性能に不安を感じる買主が多いです。そのため、建物の状態や性能を正確に開示することが極めて重要です。具体的には、過去の修繕履歴、耐震診断の結果、設備の更新状況などを詳細に提示しましょう。
さらにインスペクション(建物状況調査)を実施し、その結果を開示することで、買主の不安を軽減する効果が期待できます。なお、不動産会社の買取であれば、契約不適合責任を免責にして取引することも可能です。
認知症患者の家を売る場合
認知症患者の家を売るケースとは、認知症と診断された方が所有する不動産を、その方ために売却する場合を指します。売却理由としては、施設入居の費用捻出、資産管理などが挙げられます。
認知症患者の家を売る際の主な注意点は、以下の通りです。
- 法的な権限の確認
- 慎重な価格設定と売却プロセスの管理
認知症患者の財産を処分する場合、法的な権限が必要です。主な選択肢として2つ挙げられます。
①成年後見制度の利用
②家族信託の設定
成年後見制度を利用する場合、家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人等が選任されます。家族信託の場合は、認知症発症前もしくは症状が軽度な時に信託契約を結んでおく必要があります。いずれにせよ複雑な手続きが必要であるため、専門家への相談がおすすめです。
認知症患者の財産を管理する立場にある者には、善管注意義務があります。つまり、適正な価格で売却する責任があるということです。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼し、市場価値を正確に把握することが重要です。また、売却後の生活環境の整備や、売却益の適切な管理計画なども事前に検討しておきましょう。
離婚に伴って家を売る場合
離婚に伴って家を売る際は、いくつかの理由があります。
- 財産分与の一環
- 住宅ローンの返済負担解消
- 新生活のための資金を得る
離婚に伴って家を売る際の主な注意点は、以下の通りです。
- 所有権の確認と合意形成
- 住宅ローンの取り扱い
まず、家の所有権が誰にあるのかを明確にする必要があります。共有名義の場合、両者の合意がなければ売却できません。なお、片方の名義であっても、実質的に共有財産と見なされる可能性があります。したがって、売却の是非、売却価格、売却益の分配方法などについて、両者で明確に合意を形成することが重要です。
両者で相談するのが難しい場合は、弁護士や調停員に相談しましょう。合意事項は、離婚協議書や調停調書に明記し、後々のトラブルを防ぐことが重要です。
また、ローンの返済責任が誰にあるのか、売却後のローン残債をどのように処理するのかを明確にする必要があります。共同債務の場合、両者の合意と金融機関の承諾が必要になります。売却価格がローン残高を下回る場合は、その不足分の負担方法についても協議が必要です。
家を高く売るコツ
家を可能な限り高く売るには、戦略的なアプローチが必要です。ここから、家を高く売るための具体的なコツをご紹介します。
- 市場相場を把握する
- 適切な価格設定をする
- 物件を魅力的に演出する
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
それぞれについて見ていきましょう。
市場相場を把握する
家を高く売るためには、市場相場を正確に把握することが不可欠です。
市場相場の把握方法としては、不動産ポータルサイトでの類似物件の調査、国土交通省の地価公示の確認、複数の不動産会社への査定依頼などがあります。また、近隣の売却実績や地域の将来性も考慮に入れることが重要です。
注意点としては以下の通りです。
- 相場が常に変動していること
- 物件ごとの個別性を考慮する必要があること
- プロの意見を重視すべきこと
市場相場を把握することで、適正価格での売り出しが可能になります。また、売却期間の短縮や不本意な価格交渉を避ける材料にもなります。ただし、相場はあくまで参考情報であり、最終的な売却価格は個別の状況によって決まることを忘れないようにしましょう。
適切な価格設定をする
適切な価格設定は、家を高く売るための重要な要素です。高すぎる価格設定は買主の関心を失わせ、売却期間の長期化につながります。一方、低すぎる設定は高値成約の機会損失になります。
適切な価格設定をするためにも、複数の不動産会社の査定結果を比較し、周辺の取引事例も参考にしましょう。また、物件の強みや弱みを客観的に評価し、価格に反映させることが重要です。
ポイントとしては、以下の通りです。
- 多少の値下げ交渉の余地を残すこと
- 季節や経済状況による市場の変動を考慮すること
- 価格の根拠を明確にしておくこと
常に市場動向を注視し、必要に応じて価格を見直す柔軟さも大切です。
物件を魅力的に演出する
物件を魅力的に演出し、買主の第一印象を良くすることで、高値成約が期待できます。
具体的な方法としては、清掃と整理整頓、必要に応じた軽微な修繕、適切な照明の設置などです。また、家具の配置を工夫して空間を広く見せたり、不快な臭いを除去したりすることも効果的です。
不動産会社によっては、モデルルームのような形で空き家・空室に家具を設置してくれるサービスもあるため、不動産会社を選ぶ際に各社のサービス内容を確認してみましょう。
信頼できる不動産会社を選ぶ
適切な価格設定をし、スムーズかつ好条件な取引を実現するには、専門知識と豊富な経験を持つ不動産会社のサポートが不可欠です。
選び方としては、複数の会社から査定を受け、その内容や対応を比較しましょう。地域の取引実績、営業年数、顧客評価なども参考にしてみるのがおすすめです。また、担当者との相性や、コミュニケーションの質も重要な選択基準となります。
ポイントは、単に高い査定額を提示する会社ではなく、根拠のある適正な評価と具体的な販売戦略を提案する会社を選ぶことです。「査定額=売却できる価格」ではありません。査定額を高く提示して売却の依頼を受けようとする不動産会社は避けましょう。そのためにも複数社の比較が大切です。
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家を売る際は、複数の不動産会社から査定を受けることが重要です。しかし、忙しくて複数社に問い合わせしている時間がない方も多いでしょう。
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